シーツ交換は皆様お好きでしょうか。
やらなければいけないことだと分かっていても、忙しいときには「業者がやればいいのに」と思ったご経験はおありではないでしょうか。
物品に関しては如何でしょうか。
ご自身の病棟で使っている物品の種類や、受発注の方法はご存知ですか。
“いつもの場所”には誰が置いてくれているのでしょうか。
物品の場所がわからなかった時は誰に確認をされていますか。
今回はこの「シーツ交換」と「物品補充業務」という看護補助者の2つの仕事に焦点を当てます。
そして、看護補助者がその業務を肩代わりしてくれていることで、看護師業務はどう変わっているのかを見ていきましょう。
シーツ交換
まずはシーツ交換から見ていきましょう。
今回私は、珍しいシーツ交換専門の看護補助者チームに入れて頂きました。
このチームは病院に1つしかなく、人数は日によって異なりますが4〜6名です。
仕事はもちろんシーツ交換で、病棟の他の業務には一切携わりません。
月曜日から金曜日まで毎日3~4つずつ病棟を周り、彼らだけでほぼ院内全てのシーツを交換していました。
シーツを交換する病床数は1日平均して100~130床、時間にして5~6時間かかります。
長時間体を動かし続けるわけですから当然身体的には大変な仕事ですが、大変な作業がもう一つありました。
それは患者さんの私物と備品の管理です。
多くの方は私物を持って入院されるので、ベッド周囲に貴重品や高価なものが置いてあります。
ナースコールやセンサーなどの病棟の備品も当然ながらあります。
この私物や備品を、シーツ交換中に破損したり紛失しないようにしないといけません。
最大限の注意を払って退かしてはまたあった場所に戻して、という作業を1日中繰り返すのです。
やってみて初めてわかりましたが、この仕事はかなり体力的にも精神的にも辛いものがありました。
それでも患者さんや病棟の看護師からお礼を言われるとほっとしましたし、たとえ疲れていても「綺麗にやってよかったな」「もう少し頑張ろう」と、その日の分の交換が終わるまでは頑張る事ができました。
看護師へのメリット
このチームが看護師の代わりにシーツを交換する事で看護師に時間的、精神的、さらには身体的余裕が生まれます。
1病棟50床くらいですと、配置が手厚いところでも単純に計算して看護師一人当たり15分程度時間が浮くはずです。
その浮いた時間で看護師は専門性を必要とする業務に専念する事ができます。
結果的に患者さんの安全の確保、医療の質の向上に繋がっているのです。
物品補充
次に物品補充についてみていきます。
その名の通り、足りなくなった必要物品の補充をすることです。
私はこの仕事を救急病棟で体験してきました。
ざっと数えただけでも病棟の物品は何と200種類以上で、外見が似ていたとしても全て違うものです。
物品の名前は片仮名やアルファベット、数字が組み合わさってまるで暗号のようです。
1日に3回は看護師や医師から物品の場所を尋ねられましたが、1日2日しかいない私にはほぼ答えられません。
ですが、ベテランの看護補助者にかかればいとも簡単に見つけてしまうのです。
「病棟業務に加えて、病棟物品を管理して補充もしてください。」
と言われたら、みなさんどう思われますか。
場所だけならば覚えられるかもしれませんが、発注や補充となると、
「そこに頭と時間を使いたくないな。」「誰かやってくれないかな。」
とお考えになる方が殆どだと思います。
看護師へのメリット
物品に関する業務のほぼ全て(発注、仕入れ、補充、返品)を看護補助者が肩代わりしてくれている場合、物品の名前や位置、発注手順などは看護師が必ずしも覚えてなくてはいけないものでは無くなっています。
たとえ業者から、膨大な量の段ボールに物品が詰め込まれて届いても看護師が定位置に補充する必要はありません。
結果的に時間が浮くので看護師だけができる業務に集中することができます。
特に救急病棟など、スピードが重視される病棟であれば、すぐに必要な物を見つけてくれる人がいるというのは有難いことではないでしょうか。
終わりに
最近、看護師業務が細分化され、委託や外注化されることが増えています。
その結果お互いの仕事が見えなくなり、元々は誰の仕事だったのかわからなくなっている業務も増えているように思われます。
先に述べたシーツ交換や物品補充の他にも、看護補助者がやってくれている検査出し、環境整備、ゴミ出し、点滴台や車椅子の消毒、タイヤの空気入れなども元を辿れば看護師がやる仕事でした。
彼らの存在により、看護師は配薬や医療的処置やケア、看護記録やサマリー作成といった看護師にしかできない業務に集中出来ているのです。
今や看護補助者は医療現場、特に看護師にとって欠かせない存在と言えます。
看護補助者と良い協働関係を結ぶことが、安全でより良い医療を提供する為には必要なことになってくるのではないでしょうか。