No.14 日髙真紀様(渕野辺総合病院)「自分のことを認めてくれている感じがしてうれしかった」1/4

インタビュー

第14回目のインタビューは、渕野辺総合病院の日髙真紀看護師長です。

第9回目のインタビューでは同病院の渡辺加代子看護部長にご登場いただきました。

今回は外来という広い現場で日々奮闘されている、師長の視点からお話を伺いました。

Vol.1では、新人時代のお話を中心に伺っています。新人ナースの日髙さんを支えたものとは?

配属はまさかの救命救急センター

これまでの看護師のキャリアについて教えてください。 

日髙:看護学校を卒業し、付属の大学病院に就職して3年間勤務しました。

まったく希望していなかった救命救急センターに配属されたことがとにかくショックで。

「救命なんてありえない」そういうところからのスタートでした。

ネガティブな気持ちでのスタートだったのですね。 

日髙:新人が16人配属されたのですが、そのうち半分が付属の看護学校の卒業生で、残りの半分が外部から来た人たちでした。

そういう人たちは「救命救急で働きたい!」という希望あるから就職したわけです。

これからやっていけるのか不安が大きかったですね。

実際に勤務されていかがでしたか? 

日髙:救命救急センター以外にICU・HCU・熱傷センターもあって、すごく鍛えられましたね。

IUCに入院されている患者さんは、1時間おきにバイタルサインの測定をすることも普通でした。

新人で病態もよくわかっていない中で、人工呼吸器が使われ、ポンプが何台もあったり、様々な機械を使用している患者さんを受け持って、バイタルサイン測定やアセスメントを一巡したら1時間経っていて、次のバイタルを測る時間になっているわけです。

「いったいいつケアができるんだろう?」という必死な毎日でした。

今思えば勉強は大変だったけれど、嫌で嫌でしょうがないということもなく頑張れちゃったなという感じです。

1年目で「辛い」「辞めたい」という気持ちも芽生えたのではないかと思いますが、そこで踏ん張れた理由って何でしょう?相当ハードな現場だと思うんです。 

2人の先輩の存在

日髙:就職して3ヶ月ぐらい経ってから、すごく好きな先輩を見つけてそこからですかね。

5年目の先輩2人で、プリセプターではありませんでしたが良くしてくれて。

ムチは入れられていましたが、でも準夜が終わってから一緒に遊びに連れて行ってくれたり、プライベートでも誘ってくれたんです。

自分のことを認めてくれている感じがしてうれしかったですね。

そういう存在は大切ですよね。 

日髙:2人の先輩それぞれにいいところがあって。

1人はフニャっと柔らかい存在で「おじいちゃん」「おばあちゃん」って患者さんに声かけて、ベッドサイドに腰掛けて爪切ったり話しかけたりして、救命という緊張感のある現場でこういうケアができるってすごいなと思いましたね。

もう1人は本当に頭がよくて判断も的確で、医師とも対等に渡り合っているんです 。

タイプは違うけど2人ともすごく綺麗でかっこよくて。

ああいう風になりたいなと尊敬できる存在でした。

あの2人を目標にしながら働けたことで頑張れたというのは確かです。

ただ、一方で「患者さんのために」とか「患者さん目線で考える」という思考はあまりありませんでした。

救命の現場はとにかくクリティカルなことが多くて、患者さんのケアに関することは考えていなかった、考えることができなかったですね。

「救命」という使命を持って働いていますから、そこに思考を向けるにはそれなりの経験年数が必要でしょうね。 

転職して感じた救命救急センターとのギャップ

その後は別の部署に異動したのですか?

日髙:3年間救命救急センターに勤務したところで、結婚に伴って転居することになり、通いきれなくなってしまうので退職しました。

その後平成9年に当院に就職して、それ以来ずっとここで勤務しています。

最初はどこで勤務されたのですか? 

日髙:外科病棟に配属され、10年間ずっとそこでの勤務でした。

初めての病棟勤務はどうでしたか? 

日髙:救命の現場と比べるとクリティカルな部分では楽でしたね。

救命の3年間、患者さんのケアに関する部分を考えてこられなかったわけですが、それはここに来てからもしばらく続きました。

その頃の時代背景もあったのかもしれませんが、効率よく仕事をすることに重きを置いていたところがあったように思います。

手を抜いているわけではなく、一生懸命仕事をしていたけれども、患者さんのことを考えることについては、十分ではなかったかもしれません。

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