No. 57 安部弘子様(公立置賜総合病院)後編「良い雰囲気は管理者が決める」

No. 57 安部弘子様(公立置賜総合病院)後編「良い雰囲気は管理者が決める」

  • 2017年9月7日
  • インタビュー
No. 57 安部弘子様(公立置賜総合病院)後編「良い雰囲気は管理者が決める」
No. 57 安部弘子様(公立置賜総合病院)後編「良い雰囲気は管理者が決める」

前編に引き続き、公立置賜総合病院の安部弘子副院長へのインタビューをお届けいたします。

 

良い雰囲気は管理者が決める

 

こちらの病院ではどのような看護師教育をされていますか。

 

安部:まず当院の看護師には、「当たり前のことを当たり前にできる」看護師になってほしいと思います。

 

新人は3年で1人前になって貰うようなシステムを取っています。

それと、看護部の中では、要である師長の教育にとても力を入れています。

何故かというと、師長の存在は部署の雰囲気を決める大きな要素だからです。

以前、「ここを動きたくない」「勤務異動はしたくない」と全員が言った人気の部署がありました。

その部署に行くとスタッフが皆笑顔で迎えてくれたのですが、やはり師長の存在が大きかったのです。

 

そうした関係性の良いチームを作り上げて行くためにはどういったことが必要なのでしょうか。

 

安部:職場の雰囲気が良い部署は、師長が結構マメに「みんなで乗り越えよう」「みんなでやろう」等、声をかけています。

それから、普段師長がいる場所も大切だと思います。

例えば、色々な情報や言葉が飛び交う看護室の中心にいる師長は自分で色々な情報を得て、発信もできているように感じます。

 

では師長や副師長、管理職に対して「こうあって欲しい」という姿はございますか。

 

安部: 副師長と師長に対してはもちろん専門的な知識・技術は求めますが、人間としても求めたいものがあります。

私たちは看護師である前に一人の人間です。

ですから、患者さんの喜び、悲しみ、痛みをわかることがとても大切だと思います。

人間として基本的な部分が形成されていて初めて、看護師の面が生きてくるはずです。

 

役割だけ考えれば、副師長が現場のリーダーで、師長は部署の看護ケアにおける責任者です。

ですが、師長の顧客にはスタッフナースも含まれていますので、師長・副師長にはとにかく一人ひとりの看護師をとにかく見て貰いたいと思います。

 

 

これまでのお話以外で、職場環境で大切だと思われることはございますか。

 

安部:新人が入職して職場について考えるとき、一番大きなことはその部署の先輩看護師がどういうことをしているか、ではないでしょうか。

同じ部署に憧れである目標になる先輩がいるかどうかです。

ですから、私は1年目看護師に「部署で、先輩の中で目標になる人いますか」とよく尋ねています。

それともう一つ、どういったカンファレンスをしているかも重要だと思っています。

何故ならカンファレンスは皆がそれぞれ持っている看護観を持ち寄って、戦わせるいい機会だからです。

ですから、その2点も充実させていかなければいけないと考えています。

 

看護部長としてのお仕事に関して伺わせてください。

看護部長として取り組まれていらっしゃることはございますか。

 

安部:まず部長になりますと、他部門との交渉や病院経営、看護部の方針に関する仕事が増えます。

その中でも、病院方針を看護部の末端にまでに下ろして理解をして貰う方法に関してはよく考えています。

 

というのも以前、年齢別にスタッフと話をする機会を設けた時に「部長が今何を考えて何をしているのかがわからない」と云う意見が出たのです。

そこから、もっと発信をした方がいいということに気付きました。

 

部長自ら、そうしてスタッフと直接お話をされる取り組みをされることはとても珍しいと思います。

年齢別で考え方に特徴などはありましたか。

 

安部:そうですね、まず、20代はまだ独身の人が多いので、「こういうことをしたい」という夢を持っていました。

30代は、結婚や子育てが入ってくるので、働きやすい職場の実現を要望する声が多かったです。

30代後半から40代にかけては油がのってくる頃で、本当にプロフェッショナルとしての意見。

50代以降になると体調に関することが出てきました。

こうした意見を貰えると取り組まなくてはいけない改善点が見えてきますので、今後もやりたいと思っています。

 

 

理念を反映した看護師像

 

看護部の理念について伺っても宜しいでしょうか。

 

安部: 看護部の理念は「確かな技術と笑顔で支える思いやりの看護」です。

理想の看護師像は「受けてにとって最善を考えられ実践できる看護師」です。

 

私たちは専門職ですから、看護師でいる限り知識と技術を学び続けなければいけません。

それを「確かな技術」と云う言葉で表しています。

「笑顔で支える思いやりの看護」は、人を理解する。

何故患者さんがそのタイミングで、その言葉を発しているのかを考えるということ。

「受けて」というのは自分以外のすべての方。

「最善を考えられ実践できる」は、その場面場面で関わりを持つ必要なポイントは違いますが、それをしっかりと考えられ、実践もできるということを示しています。

 

目指す看護師像まで明言化されている点がユニークで素晴らしいと思います。

こちらの看護師は、地元の方が多いのでしょうか。

 

安部:そうですね、県内の方が多いです。Uターンの方もいらっしゃいます。

36歳で子供2人、と云うのが当院の平均的な看護師像です。

 

看護部の特徴や心がけていらっしゃることはありますか。

 

安部: 当院は500床以上の病院ではありますけども、同期同士で仲が良く、アットホームな風土はあると思います。

地域性が強く都会の大病院とは違いますから、その点を大切にしたいと思い、看護部も看護部長室もオープンにするよう心がけています。

 

看護と管理者を続ける秘訣

 

管理職は広い視野を持たなくてはならず、プレッシャーもあると思いますが、楽しむ秘訣などはございますか。

 

安部:看護師として働いていて一番嬉しいことは、患者さんからの「ありがとう」や「よかった」という言葉を頂けることです。

管理職も患者さんやご家族からそうした言葉を頂いて感じることは同じだと思います。

スタッフからの「ありがとう」「この師長でよかった」という言葉でもエネルギーを貰えるかもしれません。

 

日々お忙しいと思いますが、気分転換には何をされていらっしゃいますか。

 

安部:なかなか時間がなくて行けませんが旅行が大好きです。

ペットの猫と犬との触れ合いでもとても癒されています。

音楽は元気が出る曲をよく聴きますし、カラオケも好きで、学会の後に同期と行くこともあります。

 

そういった楽しみが看護師を続けていく秘訣でしょうか。

 

安部:私たちは、看護師でいる以上ずっと看護師を続けなさいとも言われています。

ストレスを解消しながら、メリハリをつけて続けていくことが大事だと思います。

 

 

安部副院長からのメッセージ

 

看護師を目指している学生、病院を探されている方へメッセージをお願い致します。

 

安部:看護師という仕事は、看護師である以前にその人の人間性がとても重要視される仕事です。

ですから、まずは人間として1日1日を大事に過ごしてください。

様々な経験、全てが自分の糧になるはずです。

看護師になった後、その経験を活かせる時が必ずやってくると思います。

看護師は病院の中だけで仕事をする職種ではありません。

人に関わるという幅広い視点を持ち、人と関わっていくことが大切だと思います。

様々な年代の人、色々な立場の人と一緒に働いて欲しいとも思います。

 

そして一度看護師になったら、とにかく続けて欲しいと思います。

子育てのために一時的にお休みをすることもあると思いますが、また仕事に復帰をして欲しいと思います。

 

 

シンカナース編集長インタビュー後記

ピンクのユニフォームが安部副院長の明るい雰囲気に更に映えて、お話中も輝いていらっしゃいました。

「当たり前のことを当たり前にできる」看護師を作るという明確なお言葉は、とても感銘を受けました。

シンカナースの基本的な考えの中に、看護管理者が看護の未来を創るというものがあります。

看護管理者が明るく、スタッフを正しい方向に導いている部署は、スタッフも明るく元気に自分の職場を好きになる。

これこそが、看護を、そして医療を3A(安全、安心、明るく)する基礎だと考えます。

看護管理者自らが、役割意識について真剣に考え、師長さん方への声かけを大切にされていらっしゃる。

より良い看護の未来を創造されていらっしゃることが、お話から感じられました。

安部副院長、素敵な笑顔で貴重なお話をしていただきまして、誠にありがとうございました。

 

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病院概要

公立置賜総合病院

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
北区医師会看護高等専修学校 東京都立公衆衛生看護専門学校 東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 博士後期課程在学中 ニュージーランド留学 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社