インタビュー#7ラッフルズジャパニーズクリニック in シンガポール 看護師 島内智代様 

インタビュー#7ラッフルズジャパニーズクリニック in シンガポール 看護師 島内智代様 

  • 2017年2月21日
  • インタビュー 海外看護
インタビュー#7ラッフルズジャパニーズクリニック in シンガポール 看護師 島内智代様 
インタビュー#7ラッフルズジャパニーズクリニック in シンガポール 看護師 島内智代様 

第7回目のインタビューは”海外で活躍する日本人看護師”に視点を広げ、シンガポールのクリニックで勤務されている、看護師の島内智代(しまうち ともよ)様にお話を伺いました。海外経験豊富な島内様のお話を伺っていると、「海外勤務してみたい」そんな気持ちになってきます。これから海外で働きたいと思っている人はもちろん、海外で働くってどういうことなのだろうと思っている人にも、看護師の働き方のヒントがみつかるかもしれません。

海外で働きたい

看護師になってどのような経験をされてきたのか教えてください。 

島内:看護学校を卒業後、千葉県の病院で2年間救急部署で勤務しました。次に実家から通える病院に転職して3年間手術室で働きました。その後海外に行きたくて退職して、都内でフリーで働きながら長期で休みがとれるタイミングをみて、NGOやNPOの医療ボランティアとしてミャンマーとカンボジアに行きました。日本に戻ってから大学病院で2年間勤務し、それからシンガポールに来て今に至ります。

ミャンマーカンボジアに行くの語学の勉強はどうされたのですか 

島内:高校生の時にアメリカに留学していた経験があったので、英語のベースはありました。スタッフは日本人の他に、英語と少し日本語が話せる現地スタッフで構成されていたので、私たちが日本語と英語でコミュニケーションをとって、現地スタッフが患者さんに現地の言葉で通訳するという方法をとっていました。滞在中私たちも1日2時間程度現地語の授業を受ける機会があり、私は手術室にいたので手術に必要な声掛けの言葉だけ教えてもらって、それでどうにかコミュニケーションをとっていました。

現地でも手術室を担当さたのですか? 

島内:はい。ずっと手術室で働いてきたので、手術現場で何かできるボランティアを探していたんです。主に直接介助(手洗い)に入ることが多かったですね。現地にいるスタッフがフォローアップとして外回りをサポートしてくれました。

使う器械日本のものと一緒なのしょうか? 

島内:基本的には一緒ですが、滅菌方法とかも全然違いますし、日本のように充実しているわけではなく限られたものしかないので「あるものを使ってやる」というスタンスです。現地にあるものを使うこともありますが、日本で使えなくなったものをドクターやスタッフが見つけてきてリサイクルに持ってくることも多くありました。

日本の大学病院での整った環境から、ミャンマーやカンボジアでものがないすべて自分たちで工夫する、という環境に変わったことで大きなギャップはありませんでしたか? 

島内:すごくありましたね。ずっと日本で働いてきて整った環境の中にいたので、どれだけ恵まれているのかと思いましたし、ものは考えようなんだなと思うようになりましたね。

もう1度海外へ!

そこで活動してからシンガポールに来ることになった転機は何かあったのですか 

島内:ミャンマーとカンボジアから戻ってきて、やっぱりもう一度海外に出たいと思っていました。ワーキングホリデーなどでオーストラリアを始めいろいろな国に行っている人たちを見て憧れていたんですけど、小さい頃から看護師になりたいという思いが強くて、「新しい仕事ではなく看護師一筋でやっていきたい」と考えていたので、①海外に出る、②英語圏、③日本から近い、という条件で検索したらシンガポールが出てきて、ご縁があってここで働くことになりました。

こちらでは日本人の患者さんが多いですが、様々な機関とのコミュニケーションなどで英語を使う機会は多いしょうか? 

島内:日本人相手の仕事なので、6〜7割は日本語を使うことが多いですね。現地のスタッフや他部署、他業種の人たち、例えば保険会社さんたちとのコミュニケーションは英語を使います。

こちらで働いてここは楽しい」というポイントはどういうところでしょう 

島内:実際日本に帰りたいと思うことも多々あるのですが、日本はいずれ帰る国だと思うと、海外にいられること自体が楽しいと思うんですね。ここにはいろんな国のスタッフがいるので、日本とは違う感覚の人たちがたくさんいて、こんなふうに考えるんだという彼らの価値観など勉強になります。そういうことが私の今の楽しみでもあり、ここに残る理由ですね。

こちらに来て何年になるのですか 

島内:3年目を迎えたところです。特に何年間と決めて来たわけではないですが、今のところ両親も元気にやっているので今すぐ帰国するということはないかなと思っています。逆にこの先一生とも考えていないので、次のタイミングが来た時に動ければいいですね。

シンガポールはいろんな国の方がいらっしゃるのが特徴的だと思ったのですがいかがですか? 

島内:そうですね。近所の人たちはみんな外国人です。私は中国人が多く住むエリアに住んでいるのですが、日本人では考えられないようなことをしてしまう中国人もたくさんいるので、そういうのを見ると「あぁシンガポールだな、中国だな」と思いますね。

そういうことも含めて楽しんでいらっしゃいますね。継続して住んで働くという意味では環境を含めて楽しめることが重要になってくるのでしょうか。 

島内:そう思いますね。私は海外旅行が大好きで、ここにいると近隣諸国がとても近いので週末すぐに行けるんです。日本にいると年に1〜2回しか海外に行けないですが、ここからだといろんな国に行けるので、それも楽しみの1つですね。

嫌だった手術室勤務が天職に

最初に勤務された救急手術室はご自身の性格に合っている部署だったのでしょうか? 

島内:救急は希望だったのですが、手術室は転職の面接で看護部長から「あなたは手術室に行きなさい」と言われて配属されました。でも私はそれがすごく嫌で、行った瞬間からずっと毎日毎日「私はここに居たくない」と言い続けていました。その後とりあえず半年だけ、とりあえず1年だけ、とやっていたらなぜか手術室にどっぷりハマってしまって。麻酔をはじめ、今まで見たことないことを見たり勉強たりしていることがどんどん楽しくなったんです。今は手術室以外では働きたくないと思っているくらいです。私の適性を見極めてくれたその看護部長さんはすごいと思いますね。

今までやったことのない分野を知る楽しさ

救急・手術室の環境と今のクリニックと違いの大きい部分はどんなところですか? 

島内:救急や手術室は意識のある患者さんを相手にしないという部分が1番の違いだと思います。病棟で働いたことがないので「患者さんの心に寄り添って」「患者さんとゆっくり会話して」という経験がなかったんです。今まで麻酔で寝ていたり意識がなくて話せない患者さんとしか関わってこなかった分、今こうしてクリニックで患者さんと話してコミュニケーションとるということが私の中では1番の違いですね。

今までの経験とまったく違っても仕事を楽しめるポイントは? 

島内:1つは自分が今までやったことのない分野が多いからだと思うんです。新たに勉強できる分野が多いですね。なんとなく手術で関わっていた患者さん、なんとなく救急で来た患者さん、というふうに日本では”なんとなく”で終わっていた患者さんとの関わりについて、今はじっくり向き合っている自分がいます。例えば日本では何かの疾患の合併症で高血圧があるという患者さんに対しては、メインの疾患にばかり目がいってしまい高血圧については後回しになっていました。でもここでは高血圧がメインの疾患になるわけです。患者さんの生活背景や薬についてそこまで調べたことはなかったですし、高血圧による合併症のこともよく知りませんでした。そんな自分を反省しつつ、今勉強しています。

また、患者さんとの付き合い方ということも1つありますね。自分たちは医療従事者なので常に勉強し続けなければならないと思っています。学生時代出産に立ち会ったことがなかったので、初めて自然分娩に立ち会わせてもらったり、耳鼻科・小児科など今まで勉強出来なかった分ここで補えるということも、ここで頑張っていこうと思えることの1つかなと思います。

 

チャレンジする気持ちを忘れない

勉強も楽しむ、新しいことにもチャレンジするという気持ちがあれば新しい環境でも頑張っていけるということでしょうか? 

島内:私はそう思います。日本で働いている看護師とここで働く看護師は働き方が違います。環境が大きく変わることでこちらの生活が合わなくてすぐに帰ってしまったり、日本でプライドを持ってやってきたことがこちらで全然できなくなってしまってそれに耐えられず帰ってしまった看護師を何人も知っています。

私は「まずは1年!」と思ってやっていたらどんどん楽しいことを見つけられたので、まずふんばって何かをやってみることですね。今後もさらに新しいことを見つけてチャレンジしていければなと思います。

最後に日本の看護学生に向けてメッセージをお願いします 

島内:どの分野を選ぶにしても、自分の肌が合う合わないはやってみないとわからないと思います。今まで経験してきている学校の先生の話を少しでも多く聞けると、自分がやりたいことが見えてくるような気がします。いろんな人の話を聞いてそれを見出せれば、そこからは自分次第で進んでいくだけですから。勉強を楽しんでもらえたらと思うので、興味がわくことはどんどん勉強して素敵なナースになってほしいと思います。

インタビュー後記

日本で勤務していても、海外で勤務していても島内さんならどこでも輝いていられる方だという印象を受けました。一時的な感情に左右されて決断をするのではなく、アドバイスしてくれる人の話に耳を傾け、その内容を自ら咀嚼して新しいことにも前向きに挑戦する。それらにより、周囲と確固たる信頼関係を構築されています。一つずつ課題を乗り越えながら、日々視野を広げている島内さんから、看護師にはよくある「立ち止まり」の時期をどう突破するか?ということの示唆をいただいたように感じました。
島内さんからお話を伺った後に、職場の管理者の方から「シンガポールでの勤務に応募される看護師の特徴」を聞くことが出来ました。多くの看護師が現実を直視せず、漠然と夢を追い求め、その夢と違う部分を見つけると「こんなはずではなかった」と去ってしまう中で、島内さんのように、日本との違いにも固執せず、業務に明るく邁進してくれる人はとても貴重な存在ですということでした。
 
シンガポールで看護師として勤務するには、ビザの取得を含め勤務先に準備してもらう書類も膨大になります。海外勤務を決意した以上、島内さんのように「前向きな突破力」を発揮し、周囲に信頼される看護師になることは目標にしてもらえたらと強く感じました。素敵な笑顔の島内さん、希望あふれるお話ありがとうございました!

海外勤務を目指す方はコチラもお読みください

看護師のキャリア〜海外勤務に挑戦!するマエの心構え〜

病院概要

ラッフルズジャパニーズクリニックの概要はコチラから

 

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
北区医師会看護高等専修学校 東京都立公衆衛生看護専門学校 東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 博士後期課程在学中 ニュージーランド留学 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社