No.196 獨協医科大学埼玉医療センター 多田則子 看護部長 後編:よく遊んで、よく働く

インタビュー

前編に引き続き、獨協医科大学埼玉医療センターの多田様に、

看護師として良い仕事をし続けるための生活サイクルや、これからの看護師への期待について、

お考えをお聞かせいただきました。

自分の時間を大切にすることが、良い仕事につながる

中:おっしゃいますように、看護師として、また一人の人間として輝いているためには、

ただ仕事や奉仕として看護業務を行うのではなく、自分自身が楽しんで行うことが必要ですね。

多田:人が楽しいと思えるのは自分の好きなことをやっている時ですよね。

自分の時間を有意義に使えるか使えないかで、仕事への影響もあるのではないでしょうか。

良い仕事をする人はたぶん自分の時間の使い方が上手でオン・オフの切り替えができ

自分流の楽しみ方ができているのだと思います。

仕事のために生活サイクルを回すのではなくて、

自分の時間を大切に使いながら仕事が楽しいなと感じてほしいです。

中:生活すべてが仕事でもあり、プライベートでもあり、遊びでもありと、

全部つながっているようなイメージでしょうか。

多田:そうだと思います。

明日の仕事のために貴重な休日を寝て過ごすという人も多いようですが、それは良くないです。

休日に「遊びに行くと疲れてしまうから止めておこう」と考えて家で1日過ごした結果、後から結局

「やっぱり出かければよかった」とネガティブな感情になってしまう方が多いのではないでしょうか。

スタッフの「母親」のような存在

中:看護部長のそのようなお考えは、若いスタッフにとりまして、看護業務上のことだけでなく、

人生の先輩からのアドバイスとして役立つこともあるようにお思います。

そのような貴重な情報を院内のスタッフへどのように伝えていらっしゃいますか。

多田:やはり組織ですので基本的には師長会の会議で各師長に伝達し、師長を介して伝えるという方法です。

直接伝えるのは何かのイベントの際に、ひと言ふた言の挨拶を述べるくらいです。

個人的に気になる子がいれば、廊下でちょっと声を掛けることはします。

中:若いスタッフの方から見ると、看護部長は「親」のような存在なのでしょうか。

多田:そうです。

母親ですよね。

中:母親のような存在の看護部長から、気にかけられて声をかけられたスタッフは、

それだけですごく救われるのではないかと思います。

多田:そうあってほしいものです。

当院がまだ小規模で、看護師が500人、600人だった頃は、顔と名前がほぼ一致していました。

今は900人近い看護師がいてなかなか大変ですが、

それでも毎年新人のネームカードと顔写真と配属場所をファイルにして、覚えるよう努めています。

社会ニーズによって変わる、これからの看護師像

中:そういった努力もされてらっしゃるのですね。

ところで看護師の未来像について少しお尋ねしますが、

看護師の特定行為研修や、ナース・プラクティショナー導入の可否がいま話題になっていますが、

それらの動きについて、どのようにお考えでしょうか。

多田:若い看護師にはキャリアビジョンを持っている人が多いことは確かですので、

そのニーズを把握しつつ、当院がそのニーズにどのように応えて行くべきかを考えています。

現行の認定看護師制度は特定行為がプラスされた認定プログラムに移行することが決まっていますから、

既に認定看護師の資格を取得しているステッフへ、更新のための支援体制も必要になってくるでしょう。

もちろん、個人のキャリアビジョンを支えるだけでなく、病院としては資格保有者が勤務していることで

診療報酬上の加算という経営面のメリットもあるはずですから、

その意味でも人材育成の必要性は高まっています。

中:看護師の将来像は、個人の希望と社会のニーズとで変わっていくのですね。

多田:看護師の専門化制度がまだ一本化していない以上、

それぞれの資格がどのように変化しても対応できる状況にしておかなければいけません。

5年、10年という長いスパンになるかもしれませんが、

その辺りの変化を見据えてスタッフの育成を考えていく必要があると考えています。

オフには必ず何かをする

中:話題を看護部長ご自身のことに変えまして少しお尋ねします。

看護部長は看護に必要な情熱を常に絶やさないために、何か工夫をされていますか。

多田:私はたぶん、オンとオフを切り替えるのが上手なのだと思います。

仕事が大変でも、「嫌だな」と思うことはありません。

「大変なのは致し方ない」と考えています。

疲れることは疲れます。

ですから、先ほど申しまたように、自分のオフの時には好きなことをする、外に出掛ける、

とにかく何かをするという生活を送っています。

中:ご趣味はございますか。

多田:体を動かすことです。

昔はダイビングをやっていました。

ただ、看護部長に就いてからはだいぶ行っていません。

それでもコンサートに行ったり、絵を描いたりして、オフの時間を大切に使っています。

中:遊ぶ時は遊んでリフレッシュし、そしてまた仕事につくということですね。

看護部長とお話しさせていただきまして、

一緒にいるだけで元気になれるというパワーが伝わってまいります。

部長自らが輝いていらっしゃることが院内のスタッフにも良い影響を及ぼしているのではないでしょうか。

看護部長からのメッセージ

多田:そうですか。

そう言っていただけるとありがたいです。

中:それでは最後に看護師に向けてメッセージをお願いします。

多田:当院は昨年(2017年)11月に新棟がオープンしまして、現在923床の病床を持つ急性期病院です。

新人教育に関しては、クリニカルラダーを採用し、

専門学校、大学を含めると5年、8年教育となる一貫教育で進めています。

そのなかで一番求める看護師像は「元気に働き笑顔が素敵だね」と褒められるような看護師です。

どんなに些細なことでも輝きを持っている、

そんな看護師と私は一緒に仕事をしていきたいなと感じております。

是非おいでください。

お待ちしております。

インタビュー後記

多田看護部長は、看護師の未来を見据えビジョンを持った人材育成をされつつ

一方でアットホームな雰囲気も大切にしていらっしゃいます。

現実的には、厳しくなる医療環境の中で、看護師がどのようにサバイブしていくのか?

制度や環境の変化にどのように対応していくのか?

こうしたことを真剣に考えていらっしゃるからこその、メッセージが散りばめられていらっしゃいました。

大規模な大学病院ではありますが、真剣な気持ちで取り組めば、自分のペースで成長できる土壌がある看護部だと

教えていただくことが出来たように感じます。

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Interview Team