No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)後編:経営改善は仲間と共に

No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)後編:経営改善は仲間と共に

  • 2018年5月5日
  • 病院長 インタビュー
No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)後編:経営改善は仲間と共に
No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)後編:経営改善は仲間と共に

前編に続き、経営改善について、及び看護師について教えていただきました。

 

共に頑張る仲間が強み

 

経営改善のポイントを教えてください。

 

朝妻:経営を改善するとは、まず収益を上げることです。

収益を上げることとは、多くの患者さんに来院してもらうことです。

外科であれば手術を行うことも含まれますが、大切なことは、優秀な人材、本当に頑張ってくれる人をまず集めることだと思います。

これこそが一番の、この病院の強みです。

 

 

他には、広報活動にも力を入れています。

ホームページの大改革も実行し、1カ月に1回程度は更新しています。

いつまでも同じ情報しかないというのは、やはり問題です。

そして、この地域の広報活動として、新しく医師が入職したら、得意分野のセミナーを開催しています。

広報活動というのは、非常に大事なポイントだと思います。

 

 

また、欠かせないことは、経費の削減です。

例えば、医療材料費、特に整形外科中心なので、脊椎のインプラントや、人工関節、などは非常に高額になります。

そうした納入価格の状況もデータ化して交渉することも行いました。こうして経費を少しずつ削減する。

収益を上げつつ、コストを下げる。

そうしたことを職員全体で実施することが大切になります。

当院の年度目標の1つに“全員経営の理念を徹底する。”があります。

 

 

脊椎・脊髄手術

 

思い出に残る患者さんとのエピソードを教えてください。

 

朝妻:私は、脊椎の手術の中でも、特に思春期の方の側弯症の手術を行なってきました。

当時、中学生だった患者さんが、大人になられて、お母さんになられて来院されるということも結構あります。

「ああ、それだけ自分が年を取ったんだな」

と思うと同時に元気な姿を見て本当に嬉しく思います。

側弯症の手術というのは、背骨を長い範囲で、真っ直ぐにするため、長い範囲に金属を入れて固定をしなければなりません。

手術後、長期にわたり、経過観察を行いますので、患者さんの成長を見るたびに感慨深い気持ちになるのです。

 

 

手術の進化について教えてください。

 

朝妻: 脊椎手術、脊髄手術で大事なのは、脊髄の神経をいかに温存し、障害を出さないかということです。

手術中にモニターが必要となりますが、脊髄のモニタリング装置は、手足の筋肉に電極を貼りつけ、電気的な刺激を与え、神経の波形を見ながら手術を行います。

 

脊髄の神経に障害が起こった場合、電位の波形が変化しますので、一つの操作を行うごとに、波形の変化の有無を確認しながら手術を進めていきます。

現在、最新のモニタリング装置が、当院に2台あります。

大学病院でも1台あるかないかという代物です。

 

 

進化する技術

 

他にもナビゲーションシステムというものがあります。

カーナビと同じで、術者が骨のどこを削っているか、どこにスクリューを挿入しているか、リアルタイムで分かるシステムです。

脊髄や血管に当たらないように、スクリューを入れる操作を安全に行うことができます。

非常に狭い部位や、変形していると難しいのですが、こうしたことを安全にできるのがナビゲーションシステムの利点です。

これもいち早く導入しました。

 

 

もう一つは、手術用の顕微鏡です。顕微鏡がありますと、術野を拡大して手術が行えますし、術野がとても明るくなります。

手術をしている術者と助手が同じ視野で術野を共有出来ますので、非常に安全です。

このように高額な医療機器ですが、医療安全を最重要視して、設備投資を行いました。現在。

顕微鏡は3台あります。

 

当院の脊椎手術の特徴として、低侵襲手術があります。

背骨の筋肉を極力剥がさないで行うため、出血量も少なく、術後の患者さんの痛みも軽減できます。

 

 

手術を行う全ての患者さんに対して、朝、週2回、7時半から術前カンファレンスを実施しています。

原則、私と副院長を含めた全員がカンファレンスに参加しています。

若い医師もおりますので、厳しい指導者から的確なアドバイスももらえますし、全体で切磋琢磨しています。

また、術前のみならず、術後の経過についても報告してもらい、全員で評価しています。

 

決して一人の主治医の意見だけではなく、必ずカンファレンスを通じて、全体のコンセンサスを得て、それで治療に携わるということが、うちのモットーです。

結構大変だと思いますが、患者さんの、治療が大優先ですので、カンファレンスは、絶対に外せないということで実施しています。

 

これも強みですね。

 

NPへの期待

 

看護師に期待することを教えてください。

 

朝妻:専門分野における、認定看護師の育成や講習も実施しております。

手術室でも、病棟でも、自分の得意な分野を伸ばしていただきたいと考えています。

 

海外では、プラクティショナーナースも活躍しておりますし、将来的には日本もそうなるべきだと思います。

是非、専門職として、自分の得意な分野を見つけ、伸ばすということをしていただきたいと思います。

 

 

また、臨床研究も行なっています。

最近は、医師だけではなく、コメディカルも加わった学会も増えています。

日本脊髄障害医学会という学会では、医師だけではなく、医療チームでパネルディスカッション等も一緒に行う伝統があります。

こうした学会にも、積極的に発表して欲しいと思います。臨床ももちろんですが、研究発表も共に出来る看護師さんになって欲しいと期待しています。

 

研究分野でも未来に向けてより自分を高めていくことが必要ですね。

 

朝妻:若手の看護師さんも、研究がモチベーションに繋がっているようですので、これからの時代は臨床と研究の両立は必要になるのではないでしょうか。

 

 

看護師へのメッセージ

 

朝妻:当院は、骨運動疾患を中心とした、診療を中心としてやっております。

整形外科とリハビリテーション科が中心となります。一般の病院と違い、手術は行っておりますが、比較的慢性疾患に対しての対応が多くなります。

急性期病院とか、超急性期病院にはなんとなく自分は向かないなあという看護師さんもいらっしゃると思います。

そうした方は、是非、村山医療センターにお越しください。

 

 

シンカナース編集長インタビュー後記

臨床医として疾患に立ち向かう情熱。

経営者として、病院再建に取り組む熱意。

この両面を実行されている朝妻先生は、穏やかでありながら、内なるパワーを感じる方でした。

病院は医師でなければ院長になれないというルールがある中で、長年臨床に携わった医師が、どのように経営に向き合われるのか。

これも、病院長インタビューにおいて大切なテーマの一つです。

朝妻先生は、この件に対しても明確にご回答いただきました。

「経営を改善するとは、まず収益を上げること」

「収益を上げることとは、多くの患者さんに来院してもらうこと」

変化の激しい医療業界において、厳しい状況で経営を引き継ぎ、経営を安定、そして成長させるには並々ならぬエネルギーを必要とすることは想像に難くありません。

仲間を集め、プランを立て、目標を共有し、全員一丸となって信じた道を進む。

素晴らしい経営者に、学びの多い時間をいただきました。

 

 

村山医療センター関連記事

病院紹介

朝妻院長インタビュー前編

朝妻院長インタビュー後編

 

Interview Team

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 同志社女子大学嘱託講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社