No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)前編:職員全体で目標共有

No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)前編:職員全体で目標共有

  • 2018年5月4日
  • 病院長 インタビュー
No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)前編:職員全体で目標共有
No.129 病院長 朝妻孝仁様(村山医療センター)前編:職員全体で目標共有

院長になられてから、劇的な経営改革を実行された朝妻先生。

経営改善の秘訣を含め語っていただきました。

 

 

人の役に立てる仕事

 

村山医療センターの特色を教えてください。

 

朝妻:整形外科とリハビリテーション科が病院の柱となります。

骨運動疾患いわゆる整形外科的な手術の件数が非常に多いということが、大きな特徴だと思います。

 

医師になろうと思われた動機を教えていただけますか。

 

朝妻:小さい頃から、割と自然科学が好きでした。

好きな分野を自然に勉強しておりました。

高校生の頃でしょうか、人間のからだを治すということにすごく興味がわいたことと、自分の道は、何か人の役に立てるようなことをしたいという気持ちがありました。

 

また、怪我などで病院を受診することがありました。

肩や腰を痛め、何度か整形外科に受診しましたので、そうしたことが自分の頭の中に残っていたので、医師になろうという決意に至ったように思います。

 

 

神経に対する興味

 

医学部時代の思い出はございますか。

 

朝妻:一番衝撃的だったのは、解剖学の授業です。

座学終了後に、実習を行うのですが、ご遺体を約半年かけて勉強させていただきます。

最初は慣れずに戸惑うこともありましたが、勉強していくうちに、人体の基礎を学ぶ重要性を実感出来ました。

医学部は、新たに覚える知識量も多くございますが、医師として最初の専門的な授業でしたので、非常に印象に残っています。

 

整形外科医になろうと思われた動機は何でしょうか。

 

朝妻:脳神経を含む、神経には興味を持っていました。

整形外科は、脊椎が一つの柱ですので、整形外科で、神経や、脊椎を勉強したいという思いがありました。

 

また、学生時代は、陸上競技部に所属していました。

部活の先輩には、整形外科の医師になられた方が多く、整形外科の情報を得ることができました。

ある時、スキーで怪我をして、膝の前十字靱帯損傷、内側側副靱帯損傷というかなり大きな怪我をしてしまいました。

その時に、先輩の勤務する病院へ行き、手術をせずギブスで治してもらいました。

こうした経験も、一つ整形外科を選んだ理由なのかもしれないと感じます。

 

 

風通しの良い環境

 

脊椎のご専門として特徴的なことについて教えてください。

 

朝妻:脊椎・脊髄外科を専門としております。

特に、私たちの専門分野となっている、脊柱変形、側弯症、後弯症、脊髄の腫瘍や、癌転移の根治的な手術などは、長時間の手術になります。

長い場合には、10時間ほど要することもありますので体力的にはタフな分野です。

長時間の手術とはいえ、常に集中力を切らさない精神力と体力が必要となります。

一方で、脊椎分野も一人で行うことが出来ず、チーム医療ですので、チームワークが最も大切になります。

 

現在、整形外科の医師が18人おり、そのうち、関節関係が4名、脊椎関係が14名です。

整形外科の医師数はとても多く、密接な関係でもあり、非常に風通しがよく、アットホームな環境だと思っております。

 

 

アットホームな環境作りはどのように行っていますか。

 

朝妻:これは1日で作り上げられるものではありません。

幸いこの病院は、職員も全部で300人ほどですので、それほど大きな組織ではありません。

フェイス・ツー・フェイスで、普段から話をする機会は多いと思います。

月1回は、院長巡視がございまして、幹部職員が、院内の各部署を全て回ります。

その際、それぞれの部署で困ったことがないか、何か問題がないかということを聞いて回ります。

直接、顔を見て声をかけますので、情報が直接入ってくるというメリットがあります。

各部門の責任者から情報収集することももちろん実施しますが、現場スタッフからの生の声を聞く機会も大切にしています。

 

ベクトルを合わせる

 

情報収集がチームワークの良さに繋がるということでしょうか。

 

朝妻:情報は収集するだけでは意味がありません。

チームワークを強くして行くには、職員全員が、病院の目標や、同一の方向に向かって、ベクトルをそこに集中することがとても大切なのです。

 

 

現在、病院の建て替えを行なっております。

私が来て、約2年で建て替えが決まり、来年の3月に完成予定です。

病棟は完全に新しくすることになりました。職員全体が目指してきましたので、皆が完成を非常に楽しみにしています。

 

強みを活かす

 

チームワーク以外での病院の強みを教えてください。

 

朝妻:強みは、中心となる診療部門です。

整形外科、リハビリテーション科の両科となります。

手術件数は、整形外科だけで、1200件を超えております。

昨年、平成29年度2月までの集計では、脊椎・脊髄外科の手術は1000件を超えました。

これは、当院の過去最高です。全国的に見ても2位程度に位置しているのではないでしょうか。

 

当院では非常に難しく、複雑な脊椎・脊髄疾患に対しても対応しています。

他の施設では対応できない患者さんに対しても、言わば最後の砦として頑張っていると、自負をしております。

 

 

一方で、整形外科・リハビリテーション科のみでは、病院は回りません。

内科・外科・麻酔科の先生がしっかり、バックアップしてくれております。

特に高齢者の患者さんが多いので、合併症の対策も必要です。

そこで、外科、内科、麻酔科の医師がバックアップをすることが、非常に大事になります。

現在、外科の医師2名、内科の医師2名、麻酔科の医師が3名おりますので、とても心強く感じております。

 

医師の数に関しては、病院の収益性とも合わせて考える必要があります。

それに十分見合う数が必要であれば、それは院長の裁量で、医師を採用することができます。

整形外科は年々増加し、現在18名。

リハビリテーション科も6名ですね。整形・リハビリテーション科で合わせて24名の医師がおります。

 

 

職員全体で目標共有

 

臨床医から、経営者になる戸惑いはございましたか。

 

朝妻:5年前まで、国立の大学病院におり、経営は一切関係ありませんでした。

よって、当初は非常に戸惑いました。

私が赴任したときは、新病棟の建設が決まっておりませんでした。当時の、収益や経営状況ではとても無理だと言われました。

 

そのとき、まず、事務方にどうすれば新病棟建設が実現するかということを試算してもらいました。

この病院の収益は、90%は入院患者さんからで、外来部門は10%です。

そこで、まず、入院患者さんの数を増やすことが大事だとわかりました。

303床ありながら、実際の稼働ベッドは240床程度でした。

そこで260床程に入院患者数を増やす必要があるとわかりました。

逆算の考え方で、新病棟建設が、職員のモチベーションにも繋がり、全体で同じ目標を共有することができる。

だとすれば、入院患者数を何人まで増やす必要があるのか、その目標に向かえば、結果はついてくると信じてスタッフ一丸となり邁進しました。

 

経営改善に取り組む

 

当然、私一人で出来る事ではありませんので、より強力なコアとなる仲間を集めました。

目標を共有し、同じ方向を向き、動いてくれる仲間がいなければ、達成出来なかったと思います。

 

 

病院の歴史的に大きな改革になったのではないでしょうか。

 

朝妻:国立病院機構の本部の方々も「なぜ、村山医療センターはここまで伸びたのか」と、不思議に思われています。

何度か本部に行きレクチャーを行わせていただきました。

一つのきっかけとして、地域包括ケア病棟をいち早く立ち上げたということも飛躍に繋がったと考えています。

そうしたことを転機に経営の状況が良くなったと思います。

 

仲間と様々な相談を行い「これは良さそうだ」というものは、いち早く取り入れることが出来ました。

診療報酬は流れもありますので、情報を得て、病院に合ったシステムを作ることが大事だと思います。

 

後編へ続く

 

Interview Team

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 同志社女子大学嘱託講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社