城下町・小田原で長年、地域住民の医療ニーズに応え続けてきた間中病院の病院長、横山利光先生に、
病院の特徴と強み、そして「メスの持てる内科医」を目指したという先生のご経歴を伺いました。
中:今回は、間中病院病院長の横山利光先生にお話を伺います。
先生、どうぞよろしくお願い致します。
横山:よろしくお願いします。
中:まず、貴院の強みや特徴を教えてください。
横山:当院は、入院治療を必要とする救急患者さんのための一般病床が25床と、
急性期治療を終えご自宅に帰るまでの継続加療を主に担う地域包括ケア病床が20床、
それから回復期のリハビリテーション病棟45床を運営しています。
さらに、自宅で医療や介護を受けたいという患者さんのニーズに応えるための訪問診療にも
積極的に取り組んでいて、訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所を併設しています。
このように、急な病気や怪我の治療を行う急性期医療から、在宅復帰を目指すリハビリテーション、
在宅患者さんに対する訪問診療・訪問看護と、切れ目のない医療サービスを提供していることが特徴です。
中:患者さんの幅広いニーズに対応されているのですね。
そのような運営姿勢を何か明確なビジョンとしてお示しになられているのでしょうか。
横山:当院が目指すべき将来像を一丸となって進めていき、街づくりに貢献するという「間中ビジョン」を
持っています。
その実現へ向けて三つの柱を立て、ビジョンを明確にしています。
三つの柱の一つ目は、自宅で病院の医療を受けられるようにするための「在宅医療」。
二つ目は、在宅の患者さんの緊急時に24時間いつでも対応するための「在宅医療支援」。
そして三つ目は、入院された方が早く自宅に帰れるようにする「在宅復帰支援」です。
この三つを重点医療サービスと位置づけています。
中:あちらにありますロゴマークは、今おっしゃった三つの重点医療サービスを表現しているのでしょうか。
横山:そうです。
当地のシンボルの小田原城をあしらってデザインしました。
中:素敵なロゴマークですね。
貴院の歴史はもう長いのでしょうか。
建物は新しいようですが。
横山:建物は少し前に建て替えたのでまだ新しいかもしれませんが、
病院自体は明治39年に間中直七朗先生が創設された歴史ある病院です。
それだけ長く通われている患者さんが多くて、地域から信頼を得ているのではないかと思います。
この地域の方々も高齢化が進んでいますので、
先ほど申しましたようにリハビリ病棟を新設するなど変革を続けています。
中:ありがとうございます。
では続きまして、先生のご経歴についてお尋ねします。
大学時代の記憶に残るエピソードがあればお聞かせください。
横山:小児白血病の患者さんが入院されていた時のことです。
輸血に適合する型の血液が少なくボランティアを探していまして、
偶然、私の血液がその型にマッチしていることがわかりました。
そこで私も何回か献血に協力しました。
すると、私の血液を輸血されたそのお子さんが元気になっていくのですね。
その姿がとても印象的でした。
それが一番の医学部時代の思い出です。
中:続いて、医師になられてからのキャリアを教えてください。
横山:私は昭和56年に信州大を卒業し、東京女子医大の一般外科、今の第二外科に入局し、
外科の臨床を学びました。
続いて救急救命センターで救急医療を学び、
その後はいくつかの総合病院の外科部長や消化器内視鏡センター長を経験し、本年、当院に着任しました。
中:ご専門領域を選択される際、どのようなことを重視されましたか。
横山:やはり、目の前で誰かが倒れた時に何ができるだろうかということです。
医学部を卒業したばかりでは、たとえ目の前で人が倒れても私は何もできないわけです。
ではまず何を学ぶべきかと考えると、外科と救急だろうという結論に至りました。
最も理想としていた医師の姿は「メスの持てる内科医」です。
それを目標に掲げて進もうと考えていました。
中:いま現在お力を入れている診療はどのような分野でしょうか。
横山:いま一番力を入れているのは消化器内視鏡です。
内視鏡の操作手技・テクニックは非常にバラエティーがあり、それだけに向上心を刺激されます。
機器も急速に進歩していて活用範囲が広がっています。
非常に面白いです。
中:内視鏡医の技術は先生が先ほどおっしゃった「メスの持てる内科医」というイメージに重なりますね。
腫瘍切除にしても、外科的か鏡視下かというアプローチの違いこそあれ、
共に根治的な治療を目指せますから。
横山:内視鏡治療が優れているもう一つの点は、外科はお腹にメスを入れますが、
内視鏡はお腹に傷を付けないで治せるということです。
その点にも非常に魅力を感じます。
後編に続く
シンカナース株式会社 代表取締役社長
東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 総合社会文化博士(Ph.D.) ニュージーランド留学 帝京大学医学部附属病院 東十条病院 三井住友銀行 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 同志社女子大学嘱託講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社