No.162 松下博美様(多摩南部地域病院)前編「手術室看護の魅力」

No.162 松下博美様(多摩南部地域病院)前編「手術室看護の魅力」

  • 2018年7月2日
  • インタビュー
No.162 松下博美様(多摩南部地域病院)前編「手術室看護の魅力」
No.162 松下博美様(多摩南部地域病院)前編「手術室看護の魅力」

今回は多摩南部地域病院の看護部長、松下博美様にインタビューをさせて頂きました。

松下様の手腕と魅力に迫ります。

 

中学生時代の入院体験から

 

看護師になられた経緯をお聞かせください。

 

松下:子どもの頃は病弱で14歳の時に大病を患い、4カ月間入院生活を送りました。

苦しい時に看護師さんが寄り添ってくださり、いわゆる‘汚いこと’も

やってくださったことは、思春期だった私にさまざまな感情を呼び起こしました。

短期間の入院であれば「看護師さんって素敵だな」で終わっていたと思うのです。

しかし4カ月ともなると単に憧れだけではない他の部分も見えてきます。

それを子どもなりに観察していました。

素敵だとは思わずに「やりがいのある仕事だな」と感じました。

それがきっかけです。

 

 

高校進学後の一時期「看護師は辞めようかな」と考えたこともありました。

しかし、やはり自分の入院体験から、

看護師になれば「万人のため」は無理だしとても、

将来老いていく家族の役には立てるだろうと思い、当初の進路を再確認しました。

入院体験がなければ、いま、どのような人生を歩んでいたのかと時々考えます。

 

ご両親は応援してくださいましたか。

 

松下:私が病弱であるとの理由で、猛反対されました。

最終的に父から「自分で決めた道なのだから最後までやり遂げると約束を」と言われ、

誓約書のようなものを一筆書かされて看護学校に入りました。

 

患者さんからもらった勇気

 

看護学校で思い出に残っていることをお聞かせください。

 

松下:こういうことを言う看護学生は珍しいと思いますが、

解剖の授業に興味をそそられました。

なぜかと言いますと、中学生の頃に自分が受けた手術を思い出し

「この悪い部分を治してもらったんだ」と得心できたからです。

ほかにも看護実習に関する思い出は数々あります。

交通事故で入院された70代の女性を担当した時のことです。

下肢の挫滅創があり切断せざるを得ないという結論になり、手術を受けられました。

 

 

その後、その方のリハビリに付き添い、一緒になって練習するといったことを

実習期間が終わるまで続けました。

今の70歳代というとまだ十分お若いですが、当時はやはり高齢という印象の方が多く、

その方もそうでした。

それでも、ものすごく努力されるのです。

「こんな高齢の方でもこんなに頑張れるのか」と目をみはる思いで、

逆に私の方がその方から勇気と希望をいただいたようなものでした。

3週間が過ぎ実習が終了する時、その方から

「あなたが一緒にいてくれたから、こうやって最後までできたんだよ」

と言ってくださったことが、たいへん印象に残っています。

 

 手術室看護に闘志

 

看護師になられてからの経緯をお聞かせください。

 

松下:新人で初めから手術室に配属され「えっ!」と思ったのですが、

これも自分に与えられた一つの場所かなと考え、結局、主任になるまで13年間、

手術室看護師を続けました。

手術室の看護は独特の面白さがあります。

同じ目的の手術でも執刀医ごとに使う器械が異なり、それを把握できると、

医師が「メス」とか「ペアン」とか言う前に出せるようになります。

やがて“闘志”とも言える向上心が湧いてきます。

このように、手術室の中で患者さんを中心に他のスタッフとチームになって

取り組む仕事に魅力を感じて、13年間という長い間勤務しました。

 

 

苦労されたことは何ですか。

 

松下:自分自身のことよりも後輩の指導に苦労しました。

看護の中でも手術室はやや特殊ですので、うまくマッチして長く働ける人もいれば、

そうではなくリタイヤしていく人も結構います。

ですから手術室看護の魅力を後輩になんとか伝えようと苦心しました。

例えば「手術室で看護師が先回りして色々なことに気づくと、

1時間かかるオペが5分短縮できるよ」とか

「器械出しは医師ごとに特徴があって、言われた通りに出すだけじゃなくて、

自分たちでも考えて工夫しようよ」と行った具合です。

そういったコミュニケーションを密にして、苦労と喜びを分かち合いました。

 

すべて人の意見を傾聴

 

今でもそのようにコミュニケーションを大切にされていますか。

 

松下:コミュニケーションは本当に大事です。

私は、人の話をしっかり聞く、

相手が先輩であろうが、後輩、部下であろうが、同僚であろうがしっかり聞くことを、

ずっと信条としてきました。

今でもそれは変わりません。

それから、人観察が好きです。

人を見ていて「この人はいま何を考えているんだろう、何を望んでいるんだろう」

と想像していると、少しずつその人の性格や個性が見えてきます。

人観察をして、コミュニケーションをしっかりとるということを昔から続けています。

 

後編へ続く

山口 かおり
A-LINE株式会社
帝京大学医療技術学部看護学科卒業 看護師 保健師 港区立神明保育園