No.138 井岡京子様(埼玉医科大学総合医療センター)後編「いらない経験はない、すべて一生懸命やること」

No.138 井岡京子様(埼玉医科大学総合医療センター)後編「いらない経験はない、すべて一生懸命やること」

  • 2018年5月17日
  • インタビュー
No.138 井岡京子様(埼玉医科大学総合医療センター)後編「いらない経験はない、すべて一生懸命やること」
No.138 井岡京子様(埼玉医科大学総合医療センター)後編「いらない経験はない、すべて一生懸命やること」

経験がないことでも、まずやってみること

 

主任という立場になり、師長とスタッフの間に入るなど何か大変なことはありましたか。

 

井岡:初めて主任になったのは、昭和63年で、内分泌・糖尿病病棟での時で、スタッフと師長の双方の意見をしっかりと上手に伝えようという気持ちがありました。

師長が不在で師長代行した時、事故を起こさないように心がけていました。

以前から物事を関連付けて、ここまでやっておくのが普通だろうと考えて行動していたので

「あなたは一言えば、十のことをやってくれる」と師長に褒められた時、嬉しかったのを覚えています。

 

師長になられたのはいつですか。

 

井岡:12年間主任を勤めたあと、整形の後方病棟の副師長になりました。

整形病棟に師長がいたので、後方病棟は任せられ、

月1回の会議や何かあったら相談に行っていました。

副師長を2年経験した後、12年間師長を経験し、3年間副部長を経験したのち、

部長としてこちらの病院に来ました。

 

治験コーディネーターでされていたことをお聞かせください。

 

井岡:患者さんの臨床試験のプロトコールを全部読み込んで、患者さんに説明することや、

スケジュール管理、副作用から、患者さんとの電話のやりとり、記録まで、コーディネーターが全部行います。

昔は薬の臨床試験を医師と薬剤部の人が行っていましたが、

世の中が治験コーディネーターを作る動きになり、

大学病院の中で薬剤師1名と看護師1名が専従で行うことになり、私に声がかかりました。

オペ室に移動の時もそうでしたが、今まで経験がないことでも、

全て私の人生の経験の中にあってもいいのではないかという考え方で、治験事務局に行き、そこから6年間、治験コーディネーターを勤めました。

 

こちらに看護部長としていらして、大学病院との違いはありましたか。

 

井岡:同じ埼玉医科大学のグループですが、

やり方や看護部、組織の在り方などが微妙に違い、病院が変われば変わるなとは感じました。

 

就任して1年目からどのような活動をされてきましたか。

 

井岡:まずは皆のこと、運営の仕方、課題は何かを知ろうと思いました。

その中で、ベッド稼働率の向上に取り組みました。

看護部の中にベッドコントロール委員会があり、

所属している5人のメンバーで交代しながらベッドコントロールをしていました。

委員会はマネジメントをして、実務は師長たち全員で輪番制にしたところ90%程度だった稼働率が先月は97%で、

今では師長たちの頑張りで90%を下回ることがありません。

困った時だけ、看護部が介入します。

その時には必ず副院長を呼び、一緒にベッドコントロールに関わります。

そして、月2回ある師長会議の第1回目の時に、私は必ずその数字を報告して、感謝を伝えます。

 

数字で出ると稼働率上げてきたスタッフのモチベーションも上がるのではないでしょうか。

 

井岡:数字で現れるところを最初に手掛けたことで、

師長たちが一丸となってきたことが、私がここの医療センターに溶け込めた瞬間だと思っています。

 

次に取り組みたいことはありますか。

 

井岡:小さなことでも、これはおかしいというところは少しずつ直してきた今、クリニカルラダーの取得率を上げることです。

これは看護の質にもつながることですので定着させたいと考えています。

全員が行う取組みにしたところ、100%まではいきませんでしたが、

全員が取り掛かり、今は行うものだという意識になっています。

上手くできなかった人に対してはサポートをすれば、

できることがほとんどで、できると自信につながります。

そして、今年1年間はできなかったことや、足りなかったことを補充していくのが、

私の役割だと思うので、まずは自分を受け入れてもらうことから始めようと思っています。

 

そういう働きによって、看護部長の思いが伝わればいいですね。

 

井岡:今、看護師長たち全員が同じ方向を向いていると

会話や面接時、また助け合い、協力しあう中で、実感出来るようになりました。

センターの人間である誇りを持つこと

 

4月から2年目になりますが、具体的に考えている取り組みがありましたら、お聞かせください。

 

井岡:認定などに挑戦したい看護師たちがとても多いので、それをサポートするために、より一層考慮したいと思っています。

また、診療報酬改定になったので、病院の収入を考えて、しっかり、収入面をクリアできるような応援をしていこうと思っています。

そして、看護の質を向上させるためには一人ひとりの患者さんと向き合う看護師を作ることで、

その一つとして、患者さんのご意見を必ず師長会議で報告します。

病棟など全て伏せて意見を共有しています。

部署を伏せることによって、当事者意識が芽生え、病棟で話し合うなどして、

もっと良くなることを期待して行なっています。

その成果として、以前は「あの看護師辞めちまえ」などお叱りの言葉だったものが、

「こういう看護師さんがいますので、ご指導いただけないでしょうか」などのご意見に変わってきたことです。

 

一つの意見をスタッフの方たちが真剣に考えてこられたことが、患者さんに伝わったのですね。

 

井岡:何をすることが正解かはわからないですが、

その都度一生懸命やればいいと思いますし、

自分の病院の患者さんに喜ばれる病院でありたいと思っています。

具体的には、自分の病院を好きになった看護師は病院の評判を落とすことはないので、

自分の病院が好きな看護師をたくさん作ればいいと思っています。

戸口部長も言ったと思いますが、埼玉医科大学はYour Happiness is our Happinessのミッションを掲げています。

ミッションに通じるものが、病院が好きかというところだと思います。

 

看護部が掲げられている「信頼に答えられる看護を実践する」ために日々心がけていることはございますか。

 

井岡:自分できちんと、ここのセンターの人間である誇りをもち、

患者さんに接することが、患者さんに対する誠意や看護に繋がると思います。

 

オールマイティーな看護補助者

 

看護補助者の役割や、どのようなお仕事をされているかお聞かせください。

 

井岡:現在55名の看護補助者がマルチタスクに活躍しています。

SPDや業者は一切入れていませんので、消耗品の請求や補充、患者さんの送迎、

ベッドサイドの業務、あとは機械の洗浄など、何でも行なっています。夜勤はありません。

 

すべて経験できる環境

こちらの病院のアピールまたはメッセージをお願いします。

 

井岡:総合医療センターは、まず総合周産期母子医療センターと高度救命救急センターが主に有名です。

ここに毎年、インターンシップや見学などで、年間400人ほど来られます。

総合周産期母子医療センターは、日本で一番と言われるぐらい、素晴らしいところを5年ほど前に改築しました。

500g満たないような子どもを救命して、大きくなるまで見ていきます。

埼玉県でも2カ所しか総合という名前のつくところはないので、

ぜひよかったら、来てください。

高度救命救急センターは県からの委託事業でドクターヘリを運行し11年以上になります。

ヘリナースになりたいなどご希望で来られる方もたくさんいます。

一度にたくさんフライトナースになることは難しいですが、

いろんな経験を経た上で、フライトナースを目指される方には、素晴らしい環境だと思っています。

総合医療センターはすべての診療科を網羅しておりますので、老年期、成人期など、やりたいことはすべて揃っていると思います。

PNSという看護方式を取り入れています。

1年目の時から、先輩と一緒に看護を行うことで、不安のないようなサポート体制をとっていますので、心配なく来ていただけたらと思います。

 

ドクターヘリのフライトナースになるための基準や資格はありますか。

 

井岡:現在、7名ほど活躍しており、

フライトナースになるときには、ご家族の承諾などが必要になること、

医師も同乗するので、オールマイティーにできることが必要になります。

ドクターも一緒に乗り、いち早く救命が始まることによって、助かることが大きいため、

ある程度の経験を積んでできるようになる必要があります。

そのため、できるようになって初めて、

試験を受ける形になるので、少し時間がかかります。

仕事が趣味

 

仕事以外で楽しいと思うひと時、あるいは気分転換されていることはありますか。

 

井岡:仕事が趣味みたいなものなので、特に趣味はないのですが、

お花を見ることが好きです。

特に山野草が好きで、それを見るために様々な所に主人と一緒に出掛けています。

つい買ってきてしまうので、庭がすごい事になっていますが、今いろんな花が咲いてきれいです。

シンカナース編集部 インタビュー後記

「あんたが 今までの中で一番、最高の看護婦」

そんな最高の誉め言葉を患者さんからいただいた井岡看護部長。

技術はもちろん大切ですが、患者さんがいかに納得して安心していただけるかを

若い時から心がけていらっしゃったというお話がとても印象的でした。

そのような心がけからたくさんの経験を積み、自信へとつながる。

その自信がまた次の行動へとつながります。

そして今、看護部長としてスタッフの方へと伝わる取り組みをされていらっしゃいます。

スタッフに伝われば、患者さんに伝わります。

それが患者さんの喜ばれる病院になると感じました。

「自分の病院を好きになった看護師は、病院の評判を落とすことはない。

自分の病院が好きな看護師をたくさん作ればいい。」

まさしく仰る通りで、これからますます患者さんの喜ばれる病院に発展していくことと思います。

井岡看護部長、この度は看護の原点ともいえる貴重なお話をしてくださいましてありがとうございました。

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嶋田 香織
A-LINE株式会社
シンカナース編集部及び営業本部長