No. 84 植村真美様(公立西知多総合病院)後編:患者さんを中心に新しい病院を作り上げていく

インタビュー
前編に引き続き、公立西知多総合病院の植村真美副院長へのインタビューをお届けいたします。

2つの病院の統合

看護局長として一番楽しいと感じられることを教えて頂けますか。

植村:まだ統合したばかりの病院なため、前の病院の伝統は良い伝統として残しつつも、みんなで新しく作りあげていくことができるため楽しさを感じています。

さきほどお話した一見地味な仕事をしてきたことで、幅広く全体を考えることができるため、大変役立っています。

また、前の病院では副看護部長だったため、部長が上にいる安心感の中で過ごしていました。

しかし、今は看護局の中で一番上なだけでなく副院長という立場として病院全体のたくさんの物事を考えていかなければなりません。

そのため病院の規模としては前の大学病院が1000床だったのに対して、現在は468床と小さくはなりましたが、考えなければならない視点や要素は変わらないため、関わる範囲が広がり、意志決定していくプロセスに参加もできるため、楽しさを感じることができています。

2つの病院が1つになったことで、苦労を感じられることはございますか。

植村:私は「知多だから、東海だからと縛られることなく新しい病院を作りあげていきましょう」といつも言い続けているため、私の前でそのような話をする方はいませんが、30年以上続いてきた病院で誇りを持って働いてきた方々ですから、一生懸命に気持ちの切り替えをしてくれているのだと思っています。

知多と東海の看護師全員がこちらの病院へ異動されたのでしょうか。

植村:自治体病院の対等合併は日本で3番目になります。

合併直前に退職された方もいらっしゃいますが、比率的には半々くらいの人数で合併しました。

看護部の理念である「地域の方々の生命や健康を護ることに、一精神、尊敬の念と真心を込めて看護を提供します」というのは2つの病院に共通する理念なのでしょうか。

植村:開院1年前に、何を大切にしたいのか話し合い自分たちで理念や基本方針を作りあげようということで、両方の病院の師長たちとグループワークを行い決定していきました。

看護に必要なのは「真心」

看護部の理念を実践していくために心掛けていらっしゃることはございますか。

植村:まずは地域の方々への尊敬の念があります。

2つの病院を、機能を上げるため1つに統合したのですから、地域医療をしっかりと行い救急車や急患でいらした患者さんを一切お断りすることなくしっかりと受け止めるということを徹底しています。

ご高齢の方も多く認知症の患者さんや、お子さんなど様々な患者さんがいらっしゃいますが、地域に根付いた病院なので、私たちがディスカッションしたときには人と人との絆が大切であり、地域の方々に愛され頼って頂ける病院にしていきたいということが話し合われました。

それぞれの方に大切な人生があるため、人として尊重することを基本に医療や看護を提供していかなければなりません。

そのため、例えば患者さんから頂いた厳しいお言葉もまずは必ず理念に立ち返って考えるよう話をしています。

患者中心の医療とは、「業務が重なってしまったから仕方がなかった」などという言い訳ではなく、患者さんお一人お一人を大切に尊敬の念を持って患者さんのことを中心に据えて看護することだと思います。

そのため、極力は理念を現実に落とし込み実践していく必要があるため、実際に看護していくスタッフに対して直接指導をする師長を介して私から伝えていくように心掛けています。

真心を持つということが絆という基本方針に生かされていきますし、看護とは頭だけではなく体を使い、技術も心も使います。

真心を使っていないと絆はできませんし、信頼される看護を提供することもできないため、「頭と技術、知識と技術は当たり前、そこに心も働かせないと駄目なのです」ということは実際に起きたエピソードに絡めてフィードバックし考えてもらうように取り組んでいます。

看護補助者はチーム医療の一員

看護補助者は何名くらいいらっしゃいますか。

植村:少ないですが、40名弱で非常勤の方が多くいらっしゃいます。

業務はベッドサイドでは清掃や配膳、下膳、お食事の後の片付けなどが主になっています。

また、患者さんのご案内や移送、シーツ交換などの業務もあります。

社会福祉士が1名いますが、非常勤で補助員として募集しているためなかなか人数が集まらないのが現状で、近隣の看護部長の方々ともよく話題になっています。

全体的に看護補助者が不足している現状があるのでしょうか。

植村:窓口がないため、アクセス方法やどのように働くのかが分からないことも要因としてあるのではないかと思っています。

また、雇用条件も考えていく必要があり、看護補助者という言葉の響きも悪いのではないかと思います。

同じチームで患者さんを中心に支援し在宅に戻ることができるように取り組んでいくことがチーム医療ですが、その一員ということをもっと理解してもらう必要があります。

どうしても看護師の「あれをやってください」「これをやってください」という指示に従っているだけというイメージがあるのではないかと感じています。

看護補助者の不足に対してはどこの病院も困っていますので、ぜひ募集しています。

とにかく笑う

日々お忙しく勤務される中で、どのように気分転換をしていらっしゃるのでしょうか。

植村:昔は海釣りが趣味でよく行っていましたが、最近は母の介護でなかなか夜中から家を空けることが難しいのが現状です。

しかし漫才やお笑い系が大好きなので見に行きとにかく笑うようにしています。

また次はここのエリアを全部制覇しようと、インターネットなどを見て調べながら美味しいものを食べに行ったり、好きな歌手のコンサートに行き歌って踊ったりもしています。

昔は少しだけジャズダンスも習っていて衣装もありましたし、若い頃は休みの日は全てスキーに費やすほどたくさん行っていましたが、だんだんとインドア派になってきています。

副院長からのメッセージ

最後に新人看護師や、看護師を目指されている方、再就職を考えている看護師の方々へのメッセージをお願い致します。

植村:私たちの公立西知多総合病院は急性期の病院です。

2つの病院が1つになりまだできたばかりのため、新しいものを生み出し作り上げていく中ですごくみんなワクワクしながら2年ほど過ごしてきました。

最初は困難なこともありましたが一段落し、今はいかに患者さんに笑顔になって頂くことができるかをみんなで工夫しながら取り組んでいます。

ときには職員が楽器を弾き親子で演奏をするなど、患者さんの憩いの時間を作ったり、季節によっては花火大会をしたり、七夕の飾りつけをしたりしています。

看護師はすごく素直で優しいスタッフが多く、私の大の自慢です。

看護師にはたくさんの苦難があると思いますし、失敗して先輩に叱られることもあるかもしれません。

しかし私が大切だと思っているのは、チャレンジすることです。

どんなこともやってみようというチャレンジ精神や、患者さんへの心を込めたケアや知識、技術の学びからチャージしていくことがすごく大切だと思っています。

今「二つのC」をお話ししましたが、「もう一つのC」があります。

それはチョイスです。

人生にはたくさんの選択をしなければいけない場面が出てくると思います。

看護師にはなったけれど、本当に看護師でいいのかという思いが出てくることもあるかもしれませんし、看護師として続けていきたいなというチョイスもあると思います。

また看護師の道をジェネラリストとして進んでいくのか、スペシャリストとして深めていきたいのかなどたくさんの選択があると思いますが、それら全てのことを私たちの病院で一緒に働いてくださるスタッフの方々には、その人らしい人生を送って頂けるよう病院として全面的に支援していきたいと思っています。

もし「どうだろう」と思われた方がいらっしゃいましたら、いつでも病院見学に来て頂けたら嬉しいです。

シンカナース編集部インタビュー後記

公立西知多総合病院は少し丘を登った暖かな陽が入ってくる場所にあり、

笑うことがお好きと仰る植村副院長も、同じように暖かく迎えて下さいました。

最後のメッセージで伺った「チャレンジ」「チャージ」「チョイス」から成る「3つのC」は

これから看護師を目指す人にも、今看護師としてキャリアを積んでいる方にとっても本当に大切なキーワードだと思います。

何か辛い事や失敗した事を経験したとしても、それで終わらせてしまっては勿体ない。

その中から何か一つでも新しい物を得て、常に前に進んでいく事が成長するには大切だと感じます。

植村副院長、この度は大変貴重なお話を頂きまして誠にありがとうございました。

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No. 84 植村真美様(公立西知多総合病院)前編:「来るものは拒まず」進んでいく

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