「2025年問題」からみる看護師要請課程と看護師不足

コラム

 

先日のコラムで「2025年問題」について取り上げました。団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年に向けて、国は各分野で様々な対策を講じています。看護師に関係するものとして、「特定行為に係る看護師の研修制度」が制度開始から1年が経過し、その動向が注目されていますが、もう1つ大きく変化をもたらそうとしている制度改正があります。それは今年8月、厚生労働省が看護師学校養成所のうち、准看護師から看護師になるための通信制2年課程の教育体制の改正を行うことを決めたというもの。

改正の背景その①通信制課程の現状

2004年、准看護師から看護師への移行促進を目的として、准看護師の経験年数10年以上ある人を対象に通信課程が創設されました。あれから10年、日本看護協会が会員を対象に奨学金を用意するなど、進学への支援を図ってきましたが、志願者の低下・学校の減少が続いている状況です。2007年度は全国で19校あったものが2016年度は16校となっています。

改正の背景その②2025年問題に向けた看護師の必要性

また、来るべき2025年に向けて、地域包括ケアの充実を推進させていくためには、特定行為を実施できる看護師(特定看護師)だけでなく、自律してケアを実践する看護師の必要性は高いと考えられています。そこで2015年6月、国は「日本再興戦略」の中で「地域医療体制の充実に向けた看護師養成のため、通信制看護師学校養成所の入学基準について、准看護師としての業務経験年数を現行の10年から大幅に短縮することについて全国的な措置として検討し、本年度中に結論を得て速やかに措置する」という閣議決定を行いました。

どんなことが変わるの?

これにより通信制課程への入学条件・教育体制について以下の2点の改正が行われました。

1.入学条件を准看護師として就業経験年数10年以上から7年以上に短縮 

2.専任教員数を7人以上から10人以上に増員(学生定員300人以下の養成所は8人以上) 

 

それに伴って指導ガイドラインについて一部改正が行われ、2016年11月1日、都道府県知事宛に通知がなされました。その中では教育内容をより充実させるため「対面による授業が10日」追加されることとなり、以下の内容を学ぶことが示されています。

1.論理的思考のもと根拠に基づいた看護を実践するための問題解決プロセスを学ぶ内容 

2.フィジカルアセスメントといった対象の理解と看護実践の基礎となる技術を習得し、理論と実践を統合して学ぶ内容 

3.健康教育等において効果的なコミュニケーションについて学ぶ内容 

 

2018年4月入学の学生からこれらの変更が適用されることになります。進学を考えている准看護師の方たちにとっては朗報となるでしょうか?また、教員数の増加・教育内容の改正を求められた学校は準備に追われることとなりますが、より充実した授業は実現するでしょうか?答えは入学者数や卒業後の活躍として表れてくるはずです。看護師不足解決の一助となるのか、そして看護の質はより高まるのか、この制度改正が3A(安全/安心/明るい)な看護の実現へつながっていってほしい、そう願ってやみません。

 

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