No. 69 佐々木美奈子様(新潟県立精神医療センター)後編「患者のそばにいる看護師を目指して」

No. 69 佐々木美奈子様(新潟県立精神医療センター)後編「患者のそばにいる看護師を目指して」

  • 2017年10月11日
  • インタビュー
No. 69 佐々木美奈子様(新潟県立精神医療センター)後編「患者のそばにいる看護師を目指して」
No. 69 佐々木美奈子様(新潟県立精神医療センター)後編「患者のそばにいる看護師を目指して」

前編に引き続き、新潟県立精神医療センターの佐々木美奈子看護部長へのインタビューをお届けいたします。

 

山間部ならではの医療を経験

看護部長になられた時は如何でしたか。

 

佐々木:看護部長になるときは、山間の小さな病院に異動しました。

それまで勤務していた色々な面で恵まれていた新潟市内から60キロ離れた中山間地域で、県内でも高齢化率が40%以上とかなり高い地域に移ったのでカルチャーショックを受けました。

 

そういった場所では何が問題なのでしょうか。

 

佐々木:医師、看護職員の不足です。

若い職員もローテーションで来るのですが、今後その地域の医療を担う人材をどうやって育てて行くのかが問題でした。

でも、地域医療の研修医達と地域の公民館に出て行って住民と触れ合う、という地域医療を経験させていただきました。

議会にも参加させて頂きました。

院長は院長として、看護部長は看護部長として、その地域の医療を担う病院の現状を会議員の方々に報告をするという都会ではできない体験もしました。

その後は県庁の中の県立病院の事務局に籍を置かせて頂いて、7:1の看護師配置基準の影響で看護師不足が取り沙汰されていた時期でしたから、養成校を訪問して看護師確保の業務を行いました。

その後に、こちらの病院の組織再編の話が持ち上がり、移動してきて今4年目になります。

組織再編ではどのような仕組み作りをされたのでしょうか。

 

佐々木:まず、病院の方針が慢性期から急性期に変わりました。

その関係で、病院をダウンサイジングしながら、人材育成をしていく必要がありましたので、私は人材育成に携わらせて頂きました。

ただ1年目は私も精神科の経験が少なかったので、観察と情報収集に努めました。

2年目からは、私以外の人にも教育を担ってもらう必要性を感じたので、教育担当副部長を新たに迎え、看護部長室を3人体制にしました。

そして慢性期の人材育成も行いつつ、急性期の人材育成に取組みました。

教育担当副部長に精神科のクリニカルラダーを新設して貰いましたが、上手く回り始めています。

始めの方はリーダーの育成が主でしたが、今は次の世代を育てる段階に変わっていて、各種委員長など経験を通して組織について学んで貰うという取り組みをしています。

感染に長けている専任の副部長も3年かけて頑張って院内を色々と変えてくれました。

 

そういう役割を与えることが人の育成には大切なことなのでしょうか。

 

佐々木:スタッフ自身がその役割を担って初めて、情報共有をどうしたらいいのか、委員をどういうふうに巻き込めばこの目標が達成できるのか等、対人的な物も含めて悩みます。

それがその人の経験になると思います。

上が決めたことにただ従順に従っていればいい、という環境から、自分から参加しないとついていけないという環境に変えていっています。

 

「患者のそばにいる」看護師を目指して

看護部理念の「やすらぎとふれあいの医療」の実践のために、取り組まれていることはありますか。

 

佐々木:看護部の今年のスローガンは、「患者のそばにいる」です。

他BSC(バランススコアカード)や目標管理などもありますが、端的に言葉として表すことを考えて決めました。

私の一番の喜びは、スタッフが患者さんのそばに自然体で寄り添ってくれる、その姿を見ることです。

やはり、なかなか看護部長から直接スタッフへ声は届きにくいと思うのですが、このスローガンにはそうした思いを込めています。

患者さんとスタッフが自然に微笑んでいる姿を見ると安心します。

それが精神科のプロの姿なのだと思います。

私だけでなく、副部長や師長たちも、一生懸命に「患者さんのそばにいる」という言葉を解釈してスタッフに伝えてくれています。

 

看護師がそうして自然に患者さんの側にいてくれると患者さんも安心できますよね。

 

佐々木:そうだと思います。

看護師が偏見の目で「あら、ちょっと怖いな」「どうしよう」と戸惑っていたら、それはきっと患者さんが感じ取ります。

特別な技はいらないので、普通に一緒に座って、普通に同じ空気を吸って、「今日は比較的涼しいよね」など、何気ない会話をすることが患者さんにとって一番だと思うのです。

患者さん方は、恐らく今まで辛い体験、傷ついた体験をしていると思います。

ですから普通に付き合ってくれる人が嬉しいと思うのです。

そこから治療関係ができていくと思います。

その当たり前をくり返し与えられるスタッフであって欲しいと考えています。

 

こちらの病院にも看護補助者は配置されていますか。

 

佐々木:看護補助者の数は少なくて、看護補助者は病棟に2人です。

あと身体障害のある方も雇用していて、障害者雇用では3人です。

あと1名、震災等緊急雇用の方がいらっしゃいます。

 

今いらっしゃる方々はどのようなお仕事をされていらっしゃいますか。

 

佐々木:雇用の内容にもよりますが、障害者雇用の方は清掃を中心とした業務をして頂いています。

震災等緊急雇用の方は、メッセンジャー業務が主ですが、細々としたお願いを聞いてくださっています。

病棟にいる2人の看護補助者の方は、食事介助や口腔ケア、衣類のクリーニング出しなど、身の回りの作業が主です。

清掃業務とベッドメイキングは業者に委託しています。

清掃で1人正規職員がいますが、急性期の病棟を中心に、暴力・権威の安全策のための職員として入ってもらっています。

 

お仕事以外で何か気分転換になるような趣味などはおありですか。

 

佐々木:1つは副部長や薬剤部長と園芸クラブを立ち上げて、プランターに花を植えて、その花の写真を撮って楽しんでいます。

家では年がら年中温泉に行っています。

学会がある週末以外は温泉に泊まりに行き、家族が温泉にゆったり浸かって漫画を読んで、お菓子を食べている間に、私はパソコンで書類やレポートを作っています。

そういう遊び半分で仕事を整理するという環境にいます。

近隣の県に温泉地域が沢山ありますので、なるべく県外に出ています。

音楽も好きで、友人とコンサートに行って日常を忘れて楽しんでいます。

 

佐々木看護部長からのメッセージ

 

佐々木:新潟県立精神医療センターの看護部長の佐々木と申します。

当院は精神科専門ということで、一般的には少し敷居が高い施設かもしれません。

できれば、学生から新人としてここに入るのではなく、一旦身体科を経験された後に、当院へ勤務していただければありがたいと考えております。

というのも、精神科医療が少し変わりまして、沢山の薬や患者さんの身体をきちんと看ながら精神科を看ていくという技術と観察力が必要とされているためです。

当院ではそういう看護師を求めていて、更に職員には日頃、患者さんのそばにいるということをスローガンにして、温かい思いやりをもった看護の展開を求めております。

当院へ来て下さることをお待ちしております。

よろしくお願いいたします。

 

 

シンカナース編集部インタビュー後記

病院は明るく、よく陽の当たる綺麗な建物でした。

佐々木看護部長は雰囲気も穏やかで、落ち着いてお話くださいました。

看護部の今年のスローガンとして「患者のそばにいる」ということを打ち出されていらっしゃり、その言葉こそが、佐々木看護部長が大切にされていらっしゃることだと感じました。

スタッフの方々が患者さんのそばに自然体で寄り添っている姿を見ることが喜びであるという佐々木看護部長。

常に患者さんと寄り添う看護をベースに看護部全体を運営されていらしゃることが伝わってまいります。

精神科のプロの看護師を育てるため、看護部長のみならず、副部長や師長の皆様全体で取り組まれている教育体制は、安心して勤務が出来るのではないでしょうか。

佐々木看護部長、この度は貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

 

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病院概要

新潟県立精神医療センター

嶋田 香織
A-LINE株式会社
シンカナース編集部及び営業本部長