No. 66 Tan Kok Ann Eric様 (eBeeCare) 後編「シンガポールの看護事情」

インタビュー

前編に引き続き、eBeeCareのTan Kok Ann Eric看護師へのインタビューをお届けいたします。

シンガポールの医療費補助システム

入院の平均日数はどのくらいですか。

現在シンガポールには、クリニカルパスウェイというリストがあります。

入院に際し、患者がどのくらい入院する必要があるのかを概算します。

整形外科やがんの緩和ケアのケースなどはペインコントロールがあるので期間がわかりません。

そのため、いくつかのケースについてはクリニカルパスウェイがありますが、すべてのケースについてではないです。

虫垂炎で来たときなどは、断続的に3日間くらいでしょうか。

クリニカルパスウェイがあるものは、これによって料金がチャージされます。

がん患者に対して平均の入院日数というものはありますか。

肺がんは複数回入院することになります。

痛みの制御だけなら平均で2週間程度でしょう。

しかし、化学療法を行う場合は、長くなると1カ月かかることもあります。

手術とチェックに2週間、その後の化学療法に2週間かかるのです。

シンガポールでの医療費の支払いについて教えて下さい。

シンガポールではミーンテスティングにより異なります(ケアを必要とする各人によって補助金の額を決定されます。 低所得世帯の人には、より高い補助金が与えられます)。

(補助の割合は)その人が選んだ、滞在する病室クラスによります。

例えば、Cクラスの病室に滞在することを選んだ人には、政府の補助額は高くなります。

シングルまたはラグジュアリールームに滞在することを選んだ人には補助はありません。

日本のシステムとは違います。

唯一似ているのはオーバーステイについてかもしれません。

例えばクリニカルパスウェイが入院1週間と案内しているのに、1週間以上滞在することを選んだ場合、(クリニカルパスウェイが案内している1週間を)過ぎた期間は料金が高くなります。

常に満床の状態を解消するために

費用さえ支払えば、長く滞在することは可能なのでしょうか。

退院時期についての問題はありません。

もし、日常ケアの多さのため退院が困難であれば、メディカルソーシャルワーカーを頼んで、問題に応じて、家にヘルプに来てもらうようにします。

もちろん、病院のベッド数の不足のため、早く患者さんを退院させることもあります。

事実として、今、病院のケアのトレンドは早く患者さんを退院させることです。

もしフォローアップとしてケアが継続されるのであれば、治療は家やホテルでも行われます。

これが治療のトレンドです。

というのも、シンガポールでは入院のベッドにとても需要が高いからです。

入院のベッドに空きがないこともあります。

患者さんが病院に受診しても入院するためのベッドがないのです。

そんなときはその患者さんは入院のため別の病院に転送されます。

これは現在よくある状況です。

私達はとても厳しい状況に直面しております。

入院のベッドに空性を確保することがとても難しいのです。

救急車の中で何時間も待たなければならないこともあります。

2018年にSengkangに新しい病院ができます。

これはとても大きな総合病院で、この後にも新しい病院ができることを期待しています。

新病院建設によってベッドの問題は改善されるでしょう。

シンガポールの在宅ケアの実際

病院のケアと在宅ケアの関係性について教えて下さい。

私達は在宅ケアをサポートしています。

実際、今のケアマネジメントのトレンドは在宅です。

最近は、より在宅ケアにフォーカスをしています。

治療を続けるために、病院で入院日数を延長するのではなく、患者さんの自宅にナースを送るのです。

在宅ケアではどのような医療サポートが受けられるのでしょうか。

総合的な治療です。

看護サポートを提供しています。

作業療法、理学療法、家に医師が電話をかけるとか、そのほか時々、薬を分包するなどの看護サービスや看護ケアを提供しています。

医師の指示が必要な場合はどのようにされているのでしょうか。

もしクライアントが医師からの医療アドバイスが必要な場合、ナースが家から電話をし、それを医師に伝えます。

現時点では、一般的には、緩和ケアは在宅です。

呼吸器ケアについてはどうでしょうか。

吸引も在宅で提供しています。

経鼻胃管の挿入も行います。

窒息ケアもします。

ナースのストレスと今後

会社のことについて教えていただけますか。

eBeeCareはナースのプラットフォームです。

患者の自宅や病院へナースを割り当て、送っています。

これがもっともよくeBeeCareを表しています。

ナースとして働くとき、ストレスを感じますか。

看護自体はとてもストレスのかかる仕事です。

これは日本でも同じだと思います。

どのように患者さんからの要望に対処していくかは、私達次第です。

だから、とても前向きな見解を持ち、自分自身と向き合う、話すことができなければいけません。

すべての目の前のチャレンジは克服するためにあるのだと理解することができなればいけません。

ナースを目指している方や学生さんにメッセージをもらえますか。

ナースはとても尊敬され、楽しい職業です。

ただし、現在期待や需要の変化から、看護はよりストレスのかかる仕事になっています。

人々はより多くの知識を持ち、より多くの情報を知っています。

昔はもっと気楽なもので、人々はナースにそれほど期待をかけませんでした。

この近代的技術の現在、お世話すると彼らはあなたに不平不満を言ったり、あなたを訴えようとしたりもします。

これは現在私達が直面している障害です。

お客様からあなたの会社に不平不満が寄せられたことはありますか。

もちろんです。

不平不満を受けることもあります。

私達は両方の側面を調査します。

お客様がいるといっても、私達はナース、そして彼らの家族のためにここにいます。

私達はサービスの復旧を第一優先としており、実際に不平不満がお客様から挙がっても、それを最小限に留めるようにしています。

ナースがよくないと不平不満を得た場合、まずはナースを変えます。

問題をエスカレートさせたくないので、まずはアクションを第一優先でとります。

仰られたように、状況が変わってしまって、多くの人が看護に加わるのを恐れています。

私が思うに、公共教育がとても重要だと思います。

看護の基準を上げる必要があります。

ナースへの期待について、一般の人々を教育しなければなりません。

ナースの認知度も上げる必要があります。

これが、ナースを引き付けて、看護にとどまっていてくれるようにする方法です。

なぜなら、学生さんたちが看護に加わってくれても、私たちは毎年多く人々を看護から去らせてしまっているからです。

シンガポール政府はナースを増やすどのような取り組みを行なっているのでしょうか。

収入の向上やよりよい役割を与えています。

現在ナースは診断もできます。

ナースは医師と同等です。

アメリカにはナースプラクティショナー(上級の看護職)があります。

シンガポールにもナースプラクティショナーがあります。

実際にナースは診療所に座って、相談を受けることができます。

彼らは処方もできるのでしょうか。

処方箋も書くことができます。

ただし、制限された一部の薬についてです。

シンガポールのナースの状況はとても進んでいますね。

ナースがより重要であるという認識を彼らに与えるためです。

脈をとったり、体温や呼吸を測ったりすることよりも、今政府はもっと私達に役割を与えています。

政府はナースをより重要なものにしたいということです。

リラックスの方法と今後の夢

趣味は何ですか。

趣味はスイミングです。

実際、泳ぎは上手いです。

料理も好きで美味しいです。

プラナカン料理を作ります。

私の家族はプラナカン(15世紀後半からマレーシアやシンガポールにやってきた、中国系移民の子孫のこと)です。

若い頃に祖母から料理を習いました。

他には音楽を聞いたり、あとはビールを飲んだりします。

ストレス解消のためです。

どんな音楽を聞きますか

耳が癒されるからリラックスできます。

海の波の音や鳥の声、そんな癒し音楽です。

夢は何ですか。

夢は健康でいることです。そうすれば、もっと貢献できるからです。

65歳になるまでナースを続けます。

それからリタイアします。

それが夢です。

リタイアされた後は何をされますか。

eBeeCareに戻ってきて、パートタイムスタッフとして働きますかね。

シンカナース編集長部インタビュー後記

Tan Kok Ann Ericさんは看護師としてのキャリアが長いだけではなく、シンガポール全体の医療制度等についても非常にお詳しい方でしたので、幅広くお話を伺うことが出来ました。

多国籍な環境のシンガポールでは、日本以上に看護師不足に対して真剣に取り組まれていると感じました。

というのも、国を挙げて、世界中から看護師を集めるという活動をされており、高齢化社会に向けた対策として人材の確保を世界中から行う。

ここは日本には無い部分であり、学ぶことが多いのではないでしょうか。

また、シンガポールではアメリカ同様に、ナースプラクティショナーが一部の薬に関して処方箋を書くことも出来るとのことでした。

高齢化、看護師不足など共通の問題を持ちながら、対策や制度がこうして違う同じアジアの国から学ぶということの大切さを感じるインタビューとなりました。

Thank you so much. Mr Tan Kok Ann Eric,

I was able to learn about the medical system in Singapore.

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