No. 65 嶋田 廣子様 (丸子中央病院) 後編:教育体制の強化から生まれるチーム医療

No. 65 嶋田 廣子様 (丸子中央病院) 後編:教育体制の強化から生まれるチーム医療

  • 2017年10月4日
  • インタビュー
No. 65 嶋田 廣子様 (丸子中央病院) 後編:教育体制の強化から生まれるチーム医療
No. 65 嶋田 廣子様 (丸子中央病院) 後編:教育体制の強化から生まれるチーム医療

前編に引き続き、丸子中央病院の嶋田廣子看護部長へのインタビューをお届けいたします。

 

上司の勧めから看護管理の道へ

 

その後病院へ戻られるきっかけを教えて頂けますか。

 

嶋田:働いていた訪問看護ステーションの設置主体である城西病院という精神科と慢性期疾患の患者さんが多くいらっしゃる病院で看護管理者をやらないかというお話を受けました。

訪問看護ステーションでは、ずっと管理者をしていましたが、少し違うのではないかという思いもあり、始めはお断りしていました。

しかし、勧めてくださる上司もいたため、病院へ移り看護部長として看護管理の道へ進むことになりました。

 

看護部長の道へ進まれることへの戸惑いはございましたか。

 

嶋田:しばらく病院からは離れていたため、不安なこともありましたが、ずっと訪問看護ステーションで管理者をしてきたので、戸惑いはなかったような気がします。

その時にも赤十字社の研修所で学んだことが思い返され、その時の同級生にも相談しながらやっていったように思います。

看護管理者としての学びを積み重ね、当時を振り返ってみると、私が看護部長としてやってきたことは、不十分で力不足であったと思い、申し訳なくも思っています。

しかし、そのような中でも、患者さんを大切にし、患者さんのためにケアを提供したいということは変わらないように思います。

 

もう一度「やりたい看護」へ

 

 

そちらの病院では何年くらい勤務されたのでしょうか。

 

嶋田:6年くらい勤務しました。

徐々に私のやりたいことと違うのかもしれないという思いが生まれ、一般の病院でもう一度看護師として自分の力を試したい気持ちになりました。

ちょうどそのころ、10年くらい前でしたが、当時は精神的に追い込まれ辞めてしまう看護師や職場に合わずに辞めてしまう新人看護師が増えてきていました。

当時、信州大学医学部附属病院で看護部長をされていた松本さんは「看護師のメンタルサポートはとても大事なことでやっていかなくてはならないこと」と認識されていました。

そこで、精神科の経験もある私にメンタルサポート担当の副看護部長をやらないかというお話を頂きました。

信州大学医学部付属病院で8年間、看護職のメンタルサポートを行いました。メンタル的にダメージを受け、看護の現場を離れようとしている看護師の支援ができればと始めました。看護職はとてもやりがいや喜びを感じられる職業だと思っています。能力のある看護師たちが人間関係や仕事の重さにつかれ、看護の楽しみ、喜びを感じずに辞めてしまうのは本当に切ない事だと思いました。悩んだとき、いつでも相談できる体制をとりメンタル不調による退職を減らすことができたと思います。

その後、元上司の後を追いかけて現在の病院に来ました。今年で3年目になります。

 

「地元の皆さんのために病院ができること」

 

貴院の理念を日々実践していくために心掛けていることはございますか。

 

嶋田:当院の理念は「質の高い医療の提供を通じて、地域の幸せ創りに貢献します」です。地域密着型病院として地域貢献するためにはまず、質の高いケアを提供していかなければならないと常々考えています。

質を上げるためには看護師の知識や技術を向上させる必要があります。幸い、看護師や介護職の教育は病院としても積極的に行い、院外での研修会や学会は出張で参加できます。

院内でもシミュレーション教育に力を入れており、研修センターも設置しています。

認定看護師の育成に力を入れており、現在は認知症、糖尿病、感染管理の認定看護師が2名で、計4名が在籍しています。

認定看護師の力を活かし地域貢献ができるよう、地元の方々に向けた講演などの講師を積極的に受けています。これは認定看護師のやりがいにもつながっています。

看護部としては入院が必要になった方をお断りすることがないよう、円滑かつ有効なベッドコントロールに努めています。

 

病院の理念を実践するためにご自身が活動されたことは何かございますか。

 

地域の方々をケアする最前線にいる看護職や介護職が生き生き働けるように、また働きやすいチームであるようにバックアップすることが私の役割だと思っています。各職員の相談に乗ったり、全体の調整をしたり、裏方の役割を担っています。

私個人的には、産業カウンセラーとして地域企業の職員のメンタルサポートをしています。

 

現場に合わせた教育体制

 

シミュレーションを取り入れた看護教育とはどのような取り組みでしょうか。

 

嶋田:モデルの人形などを使用しながら現場で遭遇する事態を想定し学習しています。

そのための研修センターもあります。このシミュレーション研修は看護師だけでなく、医師や介護職員、他のコメディカルも一緒に行っています。職種が違っても協力できる体制を作ることも大きな目的です。

患者さんの状態を正確に把握するため、胸の音を聴く、血圧を測定するなどの教育が受けられるようになっています。教育担当者は常駐していませんが、連絡をすると来て指導してくれます。

また、病棟では、4人部屋に点滴に行くと、違う患者さんにトイレ介助を依頼される、認知症状のある方が歩こうとしている…等の出来事が重なって起きます。

その時に、何を優先して行ったらいいのかをシミュレーション教育で行います。

「急変時の対応」では、夜勤は介護職員を含め3人で行っていますので、それぞれの職種に応じた役割ができるように訓練しています。

記録や医療行為はできなくても患者さんのご家族に連絡する。薬剤や救急カートを持ってくるなど、介護職員も協力して蘇生処置を行うことができるよう教育しています。

今後、シミュレーションの幅を広げていくことで、現場に活かされていくのではないかと考えています。

今年の冬ごろには、もっと大勢の方々が研修会に参加できるよう研修センターの新築工事が進んでいます。

 

様々な職員に合わせたスキルアップの場があるのですね。

 

嶋田:看護師の平均年齢は40代くらいで、家庭を持っている方も多いため、研修会への参加は難しいこともあります。キャリアがあっても基本に立ち返り、根拠を見直す機会は必要であると思っています。

そのため、できるだけ1つの研修会の時間を30分程度にするなど短縮し、勤務中に参加できるようにしています。

ラダーに基づいて年間計画を立て、それぞれのスタッフの目的や能力に合わせたキャリアアップができるようにと考えています。

 

看護補助者は何名くらい、いらっしゃるのでしょうか。

 

嶋田:介護福祉士と無資格の看護補助者が勤務しており、全体で80名くらいです。

一般病棟では看護師2名と看護補助者1名で夜勤を行っています。

 

看護補助者の役割としては、どのようなことがありますか。

 

嶋田:患者さんの療養環境整備や身体の清潔、オムツ交換を看護師と共に行う他、配膳や周辺業務なども行って頂いています。

 

看護補助者への指導はどのように行っているのでしょうか。

 

嶋田:各部署でのOJTと先ほどのシミュレーションを中心とした集合教育を行っています。教育は看護部の教育委員会が主体となって教育計画を立てています。

また、介護職員のリーダーとして介護福祉士長がいます。介護職員の中でリーダーシップを取り、介護職のレベルアップに繋がることを共に検討しています。

また、介護職員は年齢層も若く、積極的に仕事に取り組んでいます。とても前向きな良い集団だと感じています。

 

気持ちを切り替える場

 

 

日々忙しく勤務されている中で、気分転換の機会などはございますか。

 

嶋田:週末はおいしいものを食べに行ったり、ゴルフに出かけます。広い芝生の中を歩くことはとても気持ちいいです。

また仕事で嫌なことがあっても、職員食堂で外の景色を見ながらゆったりと昼食を摂ることで、「午後も頑張ろう」と気持ちを切り替えることができます。

 

看護部長からのメッセージ

 

 

最後に新人看護師や看護師を目指す方々へのメッセージをお願い致します。

 

嶋田:看護師という職業は、人と関わり、やりがいや喜びを感じられる職業だと思います。

「健康を維持することは、最後の宗教だ」と言われますが、人の健康に関わることができることに大いなる誇りや遣り甲斐を持つことができます。自分の人生をかけて報いある仕事だと思っています。

新人の看護師さんに対しては、仕事は本当に大変で精神的に辛いこともあると思います。

でも自分が看護職を選んだ時の気持ちを思い出し、周りの人の意見も聞きながら頑張ってほしいと思います。自分一人で看護職になったわけではなく、あなたの周りにいる方たち、実習で受け持たせていただいた患者さん、先生方、先輩看護師・・・等々のおかげであることを忘れないでほしいと思います。今は苦しくてもきっと看護師でよかったと思う日が来ます。

 

シンカナース編集部インタビュー後記

嶋田看護部長とお会いした瞬間から、私の名前も部長と同じ「嶋田」だったため、何か不思議なご縁を感じ、すんなりとお話に入ることが出来ました。

訪問看護に取り組まれた時のお話はとても新鮮で、ご自身で天職だと思われ、のめり込まれたということからも、看護に真摯に取り組まれていらっしゃったことが伝わってまいりました。

看取りや、病院とは違う部分での責任ある仕事内容にもやりがいを持ち、楽しんで看護に取り組まれた。

その嶋田部長だからこそ、真剣で温かい看護に対する姿勢が、周囲からの評価となり、病院の管理職というお声がかかったのだと納得いたしました。

地域、そして人を大切にされる嶋田部長は、病院の看護管理者としても、訪問看護同様に、責任感とやりがいを全うされていらっしゃいます。

看護管理者が明るくあること、気持ちの切り替えをうまくされることで、スタッフの皆さんも安心して勤務できるのだろうと嶋田部長のお話を伺いながら感じました。

嶋田看護部長、この度はとても参考になるお話をいただき、誠にありがとうございました。

 

丸子中央病院に関する記事はコチラから

No. 65 嶋田 廣子様 (丸子中央病院) 前編:「やりたい看護」を見つけるまで

嶋田 廣子様 (丸子中央病院)「患者さんのための看護を提供する」

病院概要

丸子中央病院

嶋田 香織
A-LINE株式会社
シンカナース編集部及び営業本部長