No. 54 佐藤康子様(松本協立病院)後編「ICTで見過ごされた看護を取り戻す」

No. 54 佐藤康子様(松本協立病院)後編「ICTで見過ごされた看護を取り戻す」

  • 2017年9月4日
  • インタビュー
No. 54 佐藤康子様(松本協立病院)後編「ICTで見過ごされた看護を取り戻す」
No. 54 佐藤康子様(松本協立病院)後編「ICTで見過ごされた看護を取り戻す」

前編に引き続き、松本協立病院の佐藤康子看護部長へのインタビューをお届けいたします。

 

看護師は将来の財産

 

病院の中の話に入らせていただきます。

こちらの病院に、現在看護師は何名ほどいらっしゃいますか。

 

佐藤:病院には180人ほどいます。

現場との兼ね合いもありますが、新人は毎年10人は必ず採っています。

 

看護師は地元の方が多いのでしょうか。

 

佐藤:時折遠方から松本で働きたい、という方もいらっしゃいますが、地元出身の方が圧倒的に多いです。

3年は地元で働いて東京の大学病院等に行く方が多いです。

 

その3年経って他の病院に行かれる方は多いのでしょうか。

 

佐藤:昔はあまりなかったのですが、最近は多くなりました。

特定看護師や認定看護師、特定行為研修も始まっています。

当院にも3人認定看護師がいるのですが、その方々の働き方を見て、やってみたくなる人も多いのだと思います。

キャリア開発に関する教育は全員にしていますので、例えば、急性期の認定を取りたいという希望があれば送り出すようにしていて、認定の一人ICNが昨年特定医行為研修を修了しています。

 

長く勤められる方もいらっしゃいますか。

 

佐藤:そうですね、長く勤める方も多いです。

福利厚生が他院よりも充実しているためか、働き続けたいといってくれる看護師は多いです。

例えば、当院では妊娠がわかると夜勤を免除します。

育児休暇は3年取れますし、子供が小学校へ入学するまでは夜勤も免除できます。

 

そういった仕組みが確立されていると続けて働きやすいですね。

 

佐藤:病院を回していくことを考えると厳しい時もありますが、今働いている看護師は、いずれ師長や主任になれる財産ですから大切にしています。

最近は結婚して仕事を辞められる人も随分減って、看護師が一生の仕事になった、と感じることも増えました。

看護師は国家免許なので、働かないのは勿体無いと思います。

私も長野県看護協会総会に行った時、三輪会長に「70歳どころか、80歳まで働きなさい」と言われました。

90歳になっても働いている医師もいらっしゃいますから、私たちも80歳になるまで働こう、と思っています。

 

 

ICTで見過ごされた看護を取り戻す

 

情報通信技術(ICT)を活用した業務改善についてお話を伺ってもよろしいでしょうか。

 

佐藤:リニューアルという病院のハード面を変えるタイミングで、ソフト面であるシステムを変えて業務改善ができないかと思いICTの活用をすすめています。

それで、今回ナースコールの新しいシステムと、スマートベッドシステムを導入することにしました。

 

看護師の業務の中で、パソコンへの入力作業が占める時間は実は長いのです。

パソコンばかり、データばかりを見て実際の患者さんを見ないという状況があります。

私が看護師になった頃と比べると便利にはなっているのですが、看護が見過ごされているような気がしていました。

ですから一層の事、ICTの導入をもっと進めることで、患者さんに触れる時間を増やせないかと思いました。

まだ途中ですから、これから更に進めていきたいと考えています。

 

患者さんと向き合って、実際の患者さんの声を聞くという看護が手薄になってきてしまっているのでしょうか。

 

佐藤:アンケートでも「入力が多くなってベッドサイドに行けません」「正直患者さんともっと話をしたいけれども時間がない」という声が聞かれます。

それを変えるには、時間を作り出す方法を考えなければいけません。

ただ現実には急性期病院である以上、看護必要度の入力などやらなくてはいけないデータや書類作成があります。

ですから、そこをどれだけ軽量化できるかが鍵だと思っています。

 

看護師の仕事を軽減する、という意味で看護補助者の存在も重要だと思います。

こちらの病院に看護補助者の配置はございますか。

 

佐藤:全部で25人程採用をしていて、病棟には17名勤務しています。

 

看護補助者の役割はどのようなものでしょうか。

 

佐藤:地域包括ケア病棟には夜勤も行う介護福祉士を入れて、生活リハビリから生活支援までやって貰っています。

一般病棟の急性期病棟では、看護師のお手伝いとして、オムツ交換をして貰っています。

今後は、例えば食事入力の業務などをして貰えるようにしたいと思っています。

 

 

看護補助者の研修はどなたが行なっていますか。

 

佐藤:基本的には感染管理看護師(ICN)や教育担当の師長などの看護師が行っています。

ですが、理学療法士からは移乗の方法、事務方からは個人情報保護法の話をして頂いたりもしています。

 

日々お忙しいと思いますが、気分転換にはどういったことをされていらっしゃいますか。

 

佐藤:師長だった頃は、スロージョギングをしていて、1ヶ月に50km〜80kmは走っていたと思います。

最近は病院のリニューアルの関係で時間がとれていませんが、大好きな読書は続けています。

ジャンルは問わず何でも、少しでも時間があったら読むようにしていて、だいたい年間で150冊ほどは読みます。

今年はもう110冊くらい読みました。

それともう一つ、最近は温泉に行くことにもはまっています。

子供と予定を合わせて、仕事終わりに月に1回程度ですが近場の温泉に泊まりに行っています。

 

短い時間でもそうして有効に活用していらっしゃって、素晴らしいですね。

 

 

佐藤看護部長からのメッセージ

 

新人や、看護師を目指す方へメッセージをお願いします。

 

佐藤:新人の看護師や看護師を目指している方へ。

看護はやってみないと分からないことが多いです。

勤める病院によって、業務内容も同じではないことがあります。

それと出会う医師、看護師、患者さんによって、教えて頂けることも違うはずです。

ですが、常に「教えて頂く」という姿勢を持っていれば、いつかきっと患者さんから名前を覚えてもらえる看護師になれるのではないかと思います。

名前を覚えて貰い、「○○さん居ますか」と尋ねて来て貰えるような看護師になって頂きたいです。

それが私の希望です。

 

 

シンカナース編集長インタビュー後記

佐藤看護部長は、とても柔軟で、看護の将来を見据えた意思決定をされていらっしました。

ICTを使うことは新たなテクノロジーを使用して、より良い医療を提供することでもあります。

一方で、パソコンに向き合う時間が、患者さんへのケアの時間を減らすことになっては本末転倒になる。

そこで、テクノロジーを利用することを患者さんへの時間を増やすこと!と意識され、看護を創り上げようとなさっている姿は未来志向の佐藤看護部長の素晴らしさなのではないかと感じました。

看護を行う楽しさ、看護を行う喜び、看護を継続する意味を改めて佐藤看護部長のお話から考えることが出来ました。

佐藤看護部長、未来を見据えた新たな視点からのお話をいただき、誠にありがとうございました。

 

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病院概要

松本協立病院

 

嶋田 香織
A-LINE株式会社
シンカナース編集部及び営業本部長