No. 52 小泉育子様(北信総合病院)前編「人生の一片にどういう関わり方ができるのか」

No. 52 小泉育子様(北信総合病院)前編「人生の一片にどういう関わり方ができるのか」

  • 2017年8月29日
  • インタビュー
No. 52 小泉育子様(北信総合病院)前編「人生の一片にどういう関わり方ができるのか」
No. 52 小泉育子様(北信総合病院)前編「人生の一片にどういう関わり方ができるのか」

今回は北信総合病院の小泉育子看護部長にインタビューさせて頂きました。

小泉看護部長の手腕に迫ります。

 

将来は地域の看護に貢献したいと考えた学生時代

 

看護師になろうと思われた理由をお聞かせ願えますか。

 

小泉:明確にではないですが、中学生の頃に人や人生という物を考え始めました。

高校で進路を決める時期に教師か看護師を考えましたが、教師の世界はどちらかというと厳しい男性社会のイメージがありましたので看護師になると決めました。

看護学校は、知人の勧めもあり順天堂大学付属の専門学校に行きました。

専門学校では寮に入って、全国から集まった友人たちと一緒にいい時間を過ごした思い出があります。

 

学生時代で印象に残っていることはありますか。

 

小泉:ダウン症のお子さんのいらっしゃるお宅に行って、一緒に食事を作って食べるというボランティアを体験しました。

そのボランティアをきっかけにして、地域の看護がしたいと思いはじめました。

卒業後は急性期病院に就職して学ぶのが一般的なキャリアだと思って居ましたが、同じボランティアに参加していた人と接するうちに、最初は急性期病院で学びいずれは地域の看護に貢献できないかと思い始めたのです。

 

卒業後はそのまま順天堂大学の病院にご就職されたのですか。

 

小泉:はい、そうです。心臓の集中治療室でした。

 

 

新人の頃の思い出は何かございますか。

 

小泉:集中治療室は厳しくて大変ではありましたが、様々なことを学ぶのは面白かったです。

1年目の5月頃に、なぜかすーっと田舎に帰ってきて、ハッと気が付いたらバイクで山まで行って夕陽を眺めている自分に気付く、という時期もありましたが、仲間も沢山いましたので楽しく働いていました。

その時のプリセプターとは今でも個人的に親しくさせて頂いて連絡を取っています。

 

順天堂大学の病院では何年ほどお勤めされたのでしょうか。

 

小泉:3年です。

特に期間は決めていませんでしたが、3年を節目に地域に出ようと北信総合病院に来ました。

 

移られる病院は元々決められていらっしゃったのでしょうか。

 

小泉:実家から近い場所で考えてはいました。

 

こちらの病院ではどちらの科に配属されたのでしょうか。

 

小泉:大学病院で集中治療室にいたためか、こちらでも集中治療室に配属になり10年勤務致しました。

 

病院を移られたことでの変化や驚かれたこと等はございましたか。

 

小泉:大学病院との看護業務の違いにかなり戸惑ったのを覚えています。

大学病院ではサーフローによる血管確保、Aラインからの採血、肺動脈圧測定、心拍出量測定などは医師の仕事でした。

しかし、この北信総合病院では、看護師が当たり前のように実施していて、病態のアセスメントを医師と共に行っていました。

また、医師と看護師が一緒になって工夫して生み出すという習慣もすごいと思いました。

医師と看護師が本当に共同で患者さんに医療を提供していると感じられて楽しかったです。

 

集中治療室の後はどちらかへ異動されましたか。

 

小泉:循環器病棟に異動しましたが、その時初めて病棟という場所に行きました。

集中治療室とは全く違いましたので、最初は違いに驚きましたが、同時に「看護している」と感じる事が多くなりました。

患者・家族の心に寄り添うという実感が得られたからだと思います。

循環器病棟の後は心臓血管疾患集中治療室(CCU)の師長になり、消化器や整形外科の病棟にも行きました。

 

 

人生の一片にどういう関わり方ができるのか

 

集中治療室と病棟の違いはどのあたりで感じられましたか。

 

小泉:病棟では入院から退院、そのあとの在宅に至るまで一緒に関る事ができます。

つまり、本当にその人の人生の一片に関るという点です。

 

その点に関してどのように感じられましたか。

 

小泉:人生の一片に関わる時に、私たち看護師はどういう関わり方ができるのか、という事を考えなければいけません。

とてもやり甲斐を感じました。

 

今までのご経験の中で印象に残っていることはございますか。

 

小泉:「いろんな素敵な方々と出会ったなあ」と感じますが、ある方のことをよく覚えています。

看護師を長くしていると「あと数日かもしれない」という勘のようなものが付いて来ます。

大部屋にいらした方の一人に対して感じて、ご本人も察していらっしゃったようでした。

「そろそろ個室のほうに行って過ごされませんか」とお話した時に、「師長さん、もう少し、もう少し大部屋にギリギリまでいたい」と希望されたので大部屋で過ごしていただきました。

でも、さすがに最期の時の前日に「もうわがまま言えませんね。移りますね。」と仰いまして、その夜に受け持ち看護師も入れて3人で色々お話しをしたのですが、翌日亡くなられました。

その方のお看取りをさせて頂いたわけですが、「その方と出会えて、最後に関わる事ができて良かった」と感じる事ができる体験でした。

 

 

看護師は自分が試される職業

 

ご自身のご経験を踏まえて、次の世代に伝えたいことはございますか。

 

小泉: 看護師は、仲間だけでなく、患者さんと出会って、その人と一緒に一時過ごさせて頂きます。

その中で、私たち自身の成長に繋がる事が沢山あります。相手のことを考え、自分を変えることが内面的な成長につながります。

入職する人や、看護師を目指している人に対して「こんな素敵な職業を選んでくれてありがとう」、「この職業は人として成長できる」と伝えています。

もちろん看護師以外の職業に就いても、人として成長することはできると思いますが、看護職は特に、人が一番苦しい、辛い時に関わりますから自分が試されます。

様々な言い方がありますが、人としての「心」「思いやり」「愛」、といったものを培っていける職業だと思います。

私自身も本当にいい職業を選べたと思っています。

 

看護師は自分の経験を積む事が、自分の成長にも繋がっていく。

素晴らしいお話をありがとうございます。

 

 

後編へ続く

 

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病院概要

北信総合病院

 

嶋田 香織
A-LINE株式会社
シンカナース編集部及び営業本部長