No.33 小柳貴子様(武蔵村山病院)後編「患者さん第一」

No.33 小柳貴子様(武蔵村山病院)後編「患者さん第一」

  • 2017年8月9日
  • インタビュー
No.33 小柳貴子様(武蔵村山病院)後編「患者さん第一」
No.33 小柳貴子様(武蔵村山病院)後編「患者さん第一」

前編に引き続き、 武蔵村山病院の小柳貴子看護部長へのインタビューをお送りします。

 

新人看護師に求める”社会人力”

 

新人教育について部長がポイントにしている事を教えてください。
小柳:新人教育では、社会人としての基礎的な態度を身につけるということを大事にしています。

12年前私が当院に来た時、最初のポジションが教育師長でした。

主任の経験しかない自分が教育師長を任される事に、なんだか自分の居場所がないように感じました。

その時、師長としてどのような姿勢で仕事に臨むのかという事を、現場の先輩師長たちから見て学ぶことが、とても大事だと思ったんです。

例えば、自分の感覚で発言をすると、話が通じない事が度々ありました。

その時にも、「年齢のギャップをなくし、受け入れてもらえるように、どうしたらいいのか?」という事を、当時の看護部長に何回も相談をしました。

でも、自分が困った時に、部長に相談をして間に入って解決してもらっても、それは結局自分の解決になってないから、居心地の悪さは改善しないんです。

だから私は、何かあっても必ず自分の行動で変えていかないといけないと思うんですよね。

それを新人たちにも分かってもらいたいと思ったんです。

 

 

部長ご自身にそのような経験があったのですね。

 

小柳:新人たちには教育サポーターとしてプリセプター・教育委員・主任・師長と、チームみんなが揃っているんだよと伝えていますが、「教えてもらっていない」と言う新人が年々増えているように感じられます。

すごく残念なことだと思うんです。

看護師という専門職を選択して、先輩たちは職業人として10年・20年苦労しながら自分の力を身につけてきたわけです。

先輩の技を盗もう、勉強しようという姿勢がない人に、気持ちよく「教えてあげたい」とは思えないこともあります。

自然に先輩が「教えてあげたい」という気持ちになるためには、”教えてあげたくなる新人”になればいい、それが社会人力だと思います。

 

「教えてもらって当たり前」という受け身の姿勢ではなく、失敗してもつまづいてもいいから「積極的に成長していきたい」という意欲がほしいですね。

 

小柳:プリセプターが新人の仕事の予定を組む、教育委員やプリセプターが面接をする、といった新人教育システムはきちんと培っています。

でも、教える側が工夫をこらしても、教えてもらう人の態度がそうでなければ、不満につながってしまうと思うんです。

私たちの仕事は専門職であって、目指すものにたどり着くためには、自分の努力や、我慢や苦労が必要だと思います。

「先輩から言われた事に納得いかない」とか、「なんで私がこんな事言われなきゃいけないの?」という気持ちも、乗り越えないといけないんですね。

そこが、今の新人がとても苦手にしている部分だと思っています。

これから40年以上看護師を続けていくわけですから、社会人として、もっともっと、いろいろな状況を受け入れて、それを自分の責任として受け止めることを教えていくことが大切です。

私はそこが新人教育の一番の要だと思っています。

そして、「先輩がこうしているからこうする」のではなく、「全ての人に対する敬意を態度で示していきましょう」というのが、根本にあります。

 

 

 

社会人力というところは、今のナースに少し欠けている部分かなとちょうど思っていました。

今言っていただいたように、学生時代に非常に大切に育てられて、就職する時も「どうぞ来てください」という感じできてしまうので、それをどこかで切り替えないといけないと思っています。

 

素直で謙虚な態度がプラスになる

 

「社会人力」というところに着目されたというのは、部長がお気付きになったのですか?

 

小柳:私が教育師長になってからも、そこは大事にし続けたいと思ったんです。

学生や新人は、どこを歩いていても「あの子は看護学生だ」、「この子は新人だ」というオーラが出ているんですよね。

そのオーラに、謙虚さや、素直さ、奉仕の精神というプラスの部分がある事で、看護師として未熟であっても、その子が患者さんから選ばれるんです。

でもそれが無ければ、「あの看護師はなんだ?」となってしまいます。

私は教育師長としてのメインの仕事が新人教育でした。

だからこそ、私が育てる新人さんが、どの部署のスタッフからも可愛がられて欲しいという思いがありました。

もし私がその時に、師長になって全く違うところからのスタートだと、また違ったんだと思います。

 

本当にそうですね。

「あ、ダメだ」ではなくて、「じゃあ、それをどうするか?」というところが、非常に素晴らしい教育方針だと思います。

「年代が違うから」とか、「最近はダメだ」で終わってしまうのではなく、何が足りないかを見つけて、そこをプラスするという事が素晴らしいと思います。

最近は現場でも足りない部分をはっきり言ってもらえる人がいないというような印象を受けます。

実際に臨床できちんと動ける看護師に育てる責任というものもあると思っています。

 

小柳:私もそう思います。

伝えていきたい「看護師として大事にして欲しい10カ条」

 

 

部長が、師長たちに対して特別にしている教育のようなものはありますか?
小柳:私は、もともと「看護師として大事にして欲しい10カ条」を持っているんです。

それを今は「武蔵村山病院の10カ条」にしています。

師長の時にはスタッフに、部長になった今は師長さんたちに伝えています。

毎年、全ての看護師やクラークさん、看護補助者さんにも伝えるようにしているんですよ。

 

その10カ条を教えていただけますか?

 

小柳:

 1.患者さん第一

 2.一人ひとりはみんな特別

 3.共感力を育てよう

 4.接遇はリスク管理の基本

 5.ベットサイドには監視カメラがあると思え

 6.自分の言葉で看護を語ろう

 7.ルールは縛るものではなく、活用するもの

 8.スタッフとしてプライドを持とう

 9.プライベートを大切に

10.看護を楽しもう♪

 

良い看護を実践するために、本当に必要な要素ばかりですね。
小柳:それがどういう言葉に置き換わるかわかりませんが、みんなが自分の中で大事にしている事がまた新たに出来てくると、この10カ条が見えてくるのかなと思っています。

本当に大事にして欲しいですね。

母として少年野球の応援を全力で楽しむ

 

部長自身のご趣味はありますか?

 

小柳:今夢中なのは、子どもの少年野球の応援です。

去年始めたばかりですが、スコアブックをつけて楽しんでいます。

お当番で1日野球に付きあうのだったら楽しまなきゃ損だなと思って、チームジャージを買ってそれを着て応援しています。

他のお母さんたちは、「そんな恰好して来なくても良いんですよ」と言うんですけど、純粋に楽しくてやっているんです。

 

最後に看護師に向けたメッセージをお願いします。

小柳:私は自分自身が看護師になってから、看護師という仕事の魅力や素晴らしさに気が付きました。

みなさんにもぜひその素晴らしさを実感して欲しいと思います。

初めに実感出来るように努力をして、実感できたらもっともっと働きたくなって、やめられない仕事なんじゃないかなって思うんです。

それが患者さんの満足、家族の満足、自分の満足につながる。

本当にWinWinの関係で、支え合えると思います。

 

シンカナース編集長インタビュー後記

笑顔が太陽のように輝いていらっしゃる小柳看護部長。

お会いした瞬間から、素敵な笑顔で我々を迎えてくださいました。

学生時代のエピソードは、とても印象的で、学生時代から全身全霊で看護に取り組まれた部長の姿が目に浮かぶようでした。

看護を実践する上で大切な、知識や技術だけではないプラスアルファをわかりやすく教えていただいたと感じています。

また、部長が大切にされていらっしゃる「看護師として大事にして欲しい10カ条」は、看護師だけではなく、どのような職業にも通じることでした。

特に「楽しむ」ということは、その職業を継続する上でとても重要な要素だと実感しています。

喜び、楽しみなくして、長期間、何かを継続することは、どんなことでも難しいですし、楽しむからこそ、継続し、プロフェッショナルになっていくことが出来る。

明るく、笑顔で周囲を照らす小柳部長の魅力に触れさせていただくインタビューでした。

小柳部長、本当にありがとうございました。

 

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病院概要

社会医療法人財団大和会 武蔵村山病院

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
北区医師会看護高等専修学校 東京都立公衆衛生看護専門学校 東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 博士後期課程在学中 ニュージーランド留学 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社