アメリカにおける医療ボランティア

コラム

アメリカでは制度として確立されている医療現場でのボランティア制度。ボランティアと言っても、誰かを助けたいという気持ちがある人だけが実施するというものではなく、実行した上でのメリットがきちんと制度化されているということが発達する要素であるようだ。

医療系の学生は、学生中のボランティア活動は学校から直接評価される。医学生であれば、ボランティア時間がなければ単位が取れない。故に、医学生が夏休み等を利用して、病院でリハビリのサポートを行ったり、移送のための車椅子の点検、浴室の清掃なども実施していた。これらは、医学生であろうとも、全体的な医療現場の仕組み、スタッフとの交流などを通じて、実際に現場に入っていくことで、それぞれの業務の意味や重要さを知り、知識や医療人としての人間力を培うという考え方の一つであろう。

ただ、良いことだからやりなさいでは、実際の行動まで結び付き辛いのかもしれない。

日本においては、清掃や美化に関する制度、教育が幼少期より発達しているからこそ「綺麗が気持ち良いこと」と思える国民を作っている。特に海外に行くと、清掃や美化の感覚があまりにもないことに驚いてしまう。これも、あくまでも制度やシステムが先であり、感情はあとからついていくものでもある。

行動しながら感情を作っていくということであれば、医療機関等でもボランティアが進んでいないのも、日本の制度がそこに注目してこなかったからだ。医療は、いつでも誰でも突然必要になってしまうものでもある。だからこそ、学生のうちから、医療に関わるボランティア活動を通じて、困った人を助けたり、医療を必要とすることが案外身近にも起こりうることを知っておく環境が整備されれば良いなと思う。

看護力不足は、何も看護師の数を増やすだけで解決するのではない。。看護に関わる人を様々な方面から増やすことで、全体的に不足している看護力を充足させていくことが理想であるのではないだろうか。生き生きとボランティア活動をしている学生さんの姿は清々しく、こうした方々の力を日本も必要としているのだと感じてならない。