No.26 樋口幸子様(済生会中央病院)後編「職場と仲間が好きになる研修計画」

No.26 樋口幸子様(済生会中央病院)後編「職場と仲間が好きになる研修計画」

  • 2017年7月27日
  • インタビュー
No.26 樋口幸子様(済生会中央病院)後編「職場と仲間が好きになる研修計画」
No.26 樋口幸子様(済生会中央病院)後編「職場と仲間が好きになる研修計画」

前編に引き続きまして済生会中央病院の副院長、樋口幸子様のインタビューをお届けします。

後編では、職場と仲間が好きになる研修計画をはじめ看護補助者の責務と主体性などについてお伺いしています。

他者比較は意味がない

 

新人の看護師は完全な新卒と転職組、どちらが多いのでしょうか?

 

樋口副院長:完全な新人が多いです。

 

その人たちへ期待する事はどういったものですか?

 

樋口副院長:採用試験の時に、「そんなナースになりたいか」という事を書いてもらいます。

1部署に4~5人入りますと、新人内でもすぐに比較が始まりますが、それは絶対やめなさいと言っています。

自分がなりたい看護師に向かって、一つひとつの勉強会をクリアしていって欲しいと考えています。

新人教育としては、全体集合のオリエンテーションの他に個別の技術指導などのフォローアップがあります。

ある程度スケジュールはありますが、新人看護師の個別性に合わせ受け持ち患者の数や夜勤に入り始める時期を決めて行きます。

 

職場と仲間が好きになる研修計画

 

樋口副院長:当院では毎年、新採用者、中途採用者共通の研修計画を作っています。

最初の1週間でシャドーイングをしたり、色々な職種の先輩方にインタビューに行ったりします。

このインタビューは「アイラブ済生会会議」と呼ばれています。

インタビューの内容は自分たちで考えてもらい、2〜3人1組になって、院長や副院長、各部長のところへ行き話をしてもらいます。

それが終わると今度は全体で会議をして、「この人はこういうような気持ちで仕事をしています」という事をみんなに発表するんです。

この取り組みで、この病院はどういった人達の集まりなのかを認識してもらうのに役立っています。

 

お互いを知るという事が仲間意識を作り、離職防止や良いチーム医療に繋がったりするのでしょうか。

 

樋口副院長:そうですね。

済生会中央病院はチーム医療をとても大事にしている病院です。

何かがあった時に、すぐ多職種との連携ができる状態にあることを大事にしています。

看護補助者の責務と主体性

 

看護補助さんはこちらには何名ほどいらっしゃいますか?

 

樋口副院長:当院では看護補助者、クラーク、保育士、介護士の方達のことを看護補助者と呼んでおり、今は合わせて26名ほどです。

この方たちに、やりがいとプライドを持って働いて欲しいですし、看護職と同じような職の集団にしたいと考えています。

そのために看護補助さんにも、係長や主任という管理職を作ったりしています。

看護補助さんも看護師の下働きみたいなイメージがありますが、そうではなくて患者さんを中心にして、「何ですか、看護師さん、こんなにトイレ汚して」とか「ベッドこんなに汚れて困りますよ」くらいのことが言えるようになってもらいたい。

看護補助さんも患者さんを中心としたチームの一員です。チームは階級制ではありません。ただ担う役割が違うだけ、という事を分かってほしいと言っています。

ですので、私自身昨年から「看護補助者は看護職の手足になるとか、縁の下の力持ちじゃないよ」と講義をしたりしています。

 

看護補助者さんの教育制度についてはどのようにお考えですか。

 

樋口副院長: 看護補助さんの中には、もっと主体的にやりたいというかたもいらっしゃいますので、そこを大事にしたいと思っています。

主体的に働いて貰うならば何ができるのか、そのためにはどういった教育や協力が必要なのか、意見を集約しながら教育制度を組み立てないといけないと考えています

 

元気で笑顔が一番の原点

 

ご趣味はありますか。

 

樋口副院長:本当に真面目一本で、仕事に関係する書物を読むことが多いのですが、

やはり家族と旅行することで癒されています。

旅行先としては東北が多くて、被災しても着々と復活していくのを見て「よし、負けないぞ」と力を貰ったりしています。

時間があったりするときは、一人でもそれを見るために東北に行ったりしますね。

 

副院長がそのように元気を貰って笑顔でいると、周りにも笑顔が広がりますね。

樋口副院長:また厳しいところがいろいろありますが、やっぱり元気で笑顔、そこが一番の原点です。

日本の看護の将来

 

看護界や看護師に対して、新人に限らず最後何か一言メッセージがありましたらお聞かせ下さい。

 

樋口副院長:少子高齢化の中で、医療が高度化していく中で機能分化をしていくことになっても、やはり看護職は必要です。

これから高齢化がどんどん進む中、どの世代、どういう人たちがこの看護を背負っていけるのか、どうやって支えていく人たちを育てるか。ワークライフバランスも考えて行かないといけません。

日本人では若い人だけでなくリタイヤした人たちも含め、色々な職業についている人、そして海外の人たちに看護の一部分を支えて貰うこともあっていいのではないでしょうか。

経済連携協定(EPA)のお陰で、海外出身の看護師も入って来ていますが、国家試験を通るのにも言語の厳しさがあります。

日本の看護師は結構優秀ですから、例えば講師として東南アジアなどで日本の看護を教えて国家試験に合格して貰う、という国際的な事もやっていけるとちょっと違うのかなと思っています。

シンカナース編集長インタビュー後記

樋口副院長は、インタビュー後、病院内の見学をさせてくださいました。

その際、新人看護師の方が笑顔で樋口副院長に挨拶をされている光景を拝見し、インタビューで伺った直ぐ直後だったので、活気ある職場と笑顔の素晴らしさを体感させていただきました。

オープンな環境、高め合いながらも、明るく看護が出来る環境作りは、樋口副院長が意図して創られているからこそ成り立っているのだと感じます。

病院やグループの理念だけではなく、看護部トップの思いがより全体に浸透しているからこそなし得ることであり、着実に成果をあげることの大切さを学ばせていただきました。

樋口副院長、この度は丁寧かつ温かくご対応いただき誠にありがとうございました。

 

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病院概要

東京都済生会中央病院

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
北区医師会看護高等専修学校 東京都立公衆衛生看護専門学校 東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 博士後期課程在学中 ニュージーランド留学 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社