No.17 メリック壽子様(ペックシティクリニック)「一生のつながりになっています」1/4

インタビュー

第17回目のインタビューは、オーストラリアのシドニーにある、ペックシティクリニックの看護師、メリック壽子(めりっく としこ)様です。

オーストラリアで看護師免許を取得し臨床で働く日本人看護師は増えてきています。

しかしまだ居住する日本人が少なかった40年前に渡豪し、看護師免許を取得した日本人看護師は彼女を含め数えるほどではないでしょうか。

vol.1では、今では珍しくなった寮生活を送った看護学生時代のお話と、日本での看護師経験について伺っています。

京都で培った看護師としての基礎力

看護師になったきっかけから教えていただけますか?

壽子:ずいぶん昔のことになりますが・・・友人の影響が大きかったように思います。

病気がちの友人がいて、よくお見舞いに行っていたんですね。

将来は人のためになる仕事をと考えていたこともあって、看護師もひとつの道かなと漠然と思った。

それがきっかけですね。

静岡出身ですが、京都にある看護学校に進学しました。

これも友人の影響なのですが、クリスチャンの友人がいて「この学校はキリスト教関係だけど学生募集しているから行かない?」と情報をくれたんです。

私はキリスト教徒ではなかったんですが、関係なく入学できるということで受験することにしました。

他にもいくつか受験しようと考えていたのですが、あちこち受けるのも嫌だったので、ダメだったら他のことを考えようと思い1校だけ受験しました。

3年間の学生生活の中で思い出やエピソードは何かありますか?

壽子:寮生活だったのですが、寮母さんがとても厳しい方で。

それが強く印象に残っていますね。

ただ、それがあったからこそ今の生活につながっているんじゃないかと思います。

寮母さんが「各家庭からお嬢様を預かったんだ」という考え方を持っていたので、実家より厳しかったんです。

家だと親子だから口ごたえするじゃないですか。それが寮母さんが相手だとそういうわけにはいかないからかなり忍耐強くなりましたね(笑)。

片付けや掃除も当番制でした。

部屋は1部屋2人で、相手は同級生同士ではないんです。

そういうところも訓練されたんじゃないかなと思います。

おかげで3年間楽しく過ごしましたよ。みなさんとは今も仲がいいですね。

同窓会には毎年15名くらいが京都に集まっていて、私も毎年極力参加するようにしています。

寮生活もあって結束力が強いのでしょうか?

壽子:たぶんそうだと思います。

ほとんどの時間を同級生と一緒に過ごしたわけですから。

若い時のことだったので一生のつながりになっていますね。

20年以上会っていなくてもあたかも昨日まで話していたかのようにまた話せることもありますし。

確かに厳しかったですけど、それぞれの病院に勤務している人から話を聞くと、あの時の寮生活がよかったとよく聞きますね。

”短期間”の約束が気がつけば”40年間”

卒業後はどちらで勤務されたのでしょう?

壽子:京都の病院で手術室と産婦人科病棟でしばらく勤務しました。

当時はドクターたちがすごく権威を持っていて、看護師がうまく介助しないとどなりつけたりした時代でした。

その後結婚して葉山に住んでいたので、済生会病院に勤務しました。

そこでは何科に勤務されたのでしょうか?

壽子:結婚していたこともあって夜勤のない部署を希望したのですが、そしたら外来に配属されて透析室で働くことになりました。

やったことのない分野でしたけどおもしろかったですよ。

近隣に住んでいる患者さんも多かったもんですから、顔見知りもいて。

当時はまだシャントはなくて毎回穿刺しなくてはならなかったんです。

その頃はまだ針が太くて刺すのは一苦労でしたね。

患者さんは何度も刺されているわけですから「ここ刺せ」とか穿刺の仕方を教わったりもしましたよ。

穿刺の際「看護師の◯◯さん呼んできてください」と患者さんから指名される看護師もいました。

その後オーストラリアに移住されたのですね。

壽子:はい。主人の仕事で行くことになり「短期で数年」という約束で来ました。

いいところだということでビザを申請したら、問題なく居住権を発行してくれたんです。

昔だからできたんでしょうね。

そこからはずっとオーストラリアでの生活ですか?

壽子:そうなんです。そのまま居ついてしまってもう40年ずっとシドニーにいますね。

でも最初の頃はもうとにかく嫌で帰りたかったんです。

当時は今のように発達していなかったですし、白豪主義なところもあって。今は移民だらけですけど、当時は少なかったですね。

生活もあるし何か仕事しなくちゃならないけれど、英語という難点もあって難しくて。

結局看護師として働くことを選びました。

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