インタビュー#11 出川俊郎様(学校法人サンシャイン学園)<前編>

インタビュー#11 出川俊郎様(学校法人サンシャイン学園)<前編>

  • 2017年3月24日
  • インタビュー
インタビュー#11 出川俊郎様(学校法人サンシャイン学園)<前編>
インタビュー#11 出川俊郎様(学校法人サンシャイン学園)<前編>

第11回目のインタビューは学校法人サンシャイン学園で学生のアルバイトのサポートに取り組んでこられた出川俊郎先生です。海外の医療・介護現場ではどの様な業務分担がされているのか。そして現在の日本の状況はどのようなものなのか。ニュージーランドで看護師の経験のある弊社スタッフ正木と共に、今までとは少し違う対談形式で前編・後編にわけてお届けいたします。

人物紹介

写真左から
A-LINE株式会社 代表取締役社長  中 友美
学校法人サンシャイン学園 東京福祉保育専門学校  出川 俊郎先生
A-LINE株式会社 スタッフ・看護師  正木 左希子

海外と比べ、日本の看護師は
業務量が多く、ギャップを感じました(正木)

:実は、正木は日本ではなく、ニュージーランドで看護師としてのキャリアをスタートさせたんですよ。

出川:すごいですね。そういう方には初めてお会いしました。

正木:看護師資格も、最初はニュージーランドで取得したんです。現地の病院の、準救急病棟といいますか、ICU(集中治療室)で治療を受けて少し状態の良くなった患者様などが移ってこられる病棟に勤務していました。

:当時、担当の患者数はどのくらいでした?

正木:ナース1人当たり、受け持つ患者様は最大で5人ほどでした。5人担当することになると、かなり忙しいな、という感覚でしたね。

出川:5人というのは、そんなに多いという感じる数なのですか?

:日本の場合は、7対1という看護基準も非常に充実していることとされ、1人の看護師が7人の患者を受け持つということは当たり前にあることです。5人でも慌ただしく感じるということは、つまり、ニュージーランドの看護師たちの仕事環境は、日本と比べてゆとりがあるということですね。

正木:そうですね。その上、業務範囲は、有資格者である看護師にしかできない業務に特化していました。例えば、私は、日本に帰国して初めて、ベッド(ストレッチャー)を押すという経験をしたんですよ。

:ニュージーランドでは、移送(車椅子やストレッチャーで患者様の移動を補助すること)をしなかったんですか?

正木:しなかったですね。移送の際は、もちろん看護師も一緒についていくのですが、ベッドや車椅子を押したり、点滴台を運んだりといった業務は、オーダリー(運搬係)が担当していました。看護師は与薬(患者様にお薬をお渡しすること)など、患者様と直接、接する業務がメインで、力仕事はほとんどありませんでしたね。

:看護師は押さない、持たないということですね。一日の業務量としては、どんなイメージになるのでしょう。

正木:まず朝は、朝食時の与薬ですね、薬をお渡しするのは看護師の役割です。ですが、食事介助は専門のスタッフが担当します。

出川:おや、それは日本でも同じではないのですか? 食事介助をしてくださる方が別にいて…

:いえ先生、実はそういう医療機関はごくわずかで、看護師がやるのがまだまだ一般的なんですよ。

出川:そうなんですか。予想以上に、日本の看護師さんの業務量は多そうですね。
正木:ええ、ですから日本に帰国直後は、かなりギャップを感じました。例えば日本では、転倒や転落の危険がある患者様には、夜間はセンサーマットを使って動きを把握したり、トイレなどちょっとした移動時にもナースコールを押していただいたり、というのが一般的。でもニュージーランドでは、そういう患者様には、24時間体制で看護サポートが付くので、そういったものは必要なかったんです。抑制(布や紐などでお身体をベッドに固定すること)も絶対しませんでした。

:抑制はしない。看護サポートが付くことで、看護師の負担が減るだけではなく、患者様にとってもより良い環境が実現できているわけですね。

正木:看護師は、患者様と直接、接する業務をメインに手掛け、それ以外のことはほかのスタッフに任せるというイメージですね。例えば、有資格者ではなくてもできることですが、清拭(お身体を拭くこと)は担当していました。その他、ドクターの介助などが看護師の主な業務でした。

出川:なるほど。海外では、それほどまでに役割分担が徹底されているのですね。

:実は私も、これまでにアメリカをはじめ、様々な国の医療や介護の環境を見てきましたが、アメリカでは院内で働いていらっしゃる移民の方も多く、病棟の表示は英語とスペイン語で書かれているほどです。役割分担も徹底されていて、移送の際にはリフトスタッフが、注射器などの医療材料を補充するには、補充専門のスタッフがいるほど。バイタルサイン測定も看護サポートが担当していました。

正木:一方で、日本の病院では、朝から看護師が配膳して、与薬も食事介助もバイタルもやる。検査があったら移送して、シーツ交換や環境整備も担当して…。

出川:何から何まで、全部やらなければならないというのが、日本の看護師の現状です。

前編の今回は、海外と日本の看護師の業務量の違いについてお届けいたしました。
後編は日本の看護現場でのグローバル人材の活躍についてお伝えいたします。

 

中 友美
A-LINE株式会社 代表取締役社長 シンカナース編集長
北区医師会看護高等専修学校 東京都立公衆衛生看護専門学校 東洋大学文学部国文学科 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 経営管理修士(MBA) 日本大学大学院総合社会情報研究科 博士後期課程在学中 ニュージーランド留学 A-LINE株式会社/代表取締役社長 東京医科歯科大学非常勤講師 著書『わたしの仕事シリーズ2 看護師』新水社