よみがえる記憶

コラム

先日友人と会うために降りたことがない駅で下車した時のことです。

待ち合わせより少し早めに着いたため、駅周辺を散策していたところ、懐かしい建物が目に入り、その瞬間頭の中に当時のことがあふれ出てきました。

 

古びた予備校の校舎。

 

そこは私が大学編入の受験のために通った予備校でした。

「降りたことがない」というのは記憶違い。

受験したことはもちろん記憶に鮮明に残っていますが、10年前に夏期講習を受講するために予備校に通った暑い夏の日々は、記憶の外に追いやられていました。

昭和な佇まいを感じさせる建物の雰囲気は当時のまま。

だからこそ思い出したのかもしれません。

 

怒涛の受験勉強

2ヶ月という短期決戦で臨んだ受験勉強は文字通り”怒涛の日々”でした。

・生まれて初めて書いた小論文。

・国家試験後二度と手にとることはないと思った「看護師国家試験問題集」を入試科目の「看護学」対策のために自ら購入したことに驚愕。

・仕事を最小限にセーブし、睡眠と食事以外は勉強勉強、ただひたすらに勉強。

・志望動機の作成や、これまでの看護実践の振り返りによる脳みその疲労。

・面接のリハーサルでかいた大量の冷や汗。

・時間のなさに焦るあまり食事が喉を通らなくなり、何か悪い病気になったのか・・・と襲った不安。

アカデミックなことにやり慣れていなかったため、こんなにも濃密で苦しい日々は初めてのことでした。

 

社会人になってからの受験勉強で自分を見つめ直す

 

志望動機や小論文を考えていると、その時間は突き詰めると自分の看護観・価値観を見つめ直すものでもあります。

それまでしっかり考える機会を持たなかった私にとってその時間は苦痛でしかありませんでした。

「考える」という作業の大変さと、それを乗り越えた先にある自分なりの「答え」、さらにそこから生まれる「新たな問い」。

「勉強すること」の意味を社会人の中堅どころになってようやく知ることができました。

 

”知らない街”から”思い出の街”へ

そんなことを思い出しながら再び待ち合わせ場所へ。

懐かしい友人と懐かしい建物、そして怒涛の受験勉強。

普段降り慣れないこの街は、私が看護師としてステップアップするための土台を固めてくれた大切な場所でもありました。

みなさんの「思い出の街」はどんな場所ですか?