No.9 渡辺加代子様(渕野辺総合病院)「看護は患者さんに寄り添っていくものだ」1/3

No.9 渡辺加代子様(渕野辺総合病院)「看護は患者さんに寄り添っていくものだ」1/3

  • 2017年3月3日
  • インタビュー
No.9 渡辺加代子様(渕野辺総合病院)「看護は患者さんに寄り添っていくものだ」1/3
No.9 渡辺加代子様(渕野辺総合病院)「看護は患者さんに寄り添っていくものだ」1/3

第9回目のインタビューは、渕野辺総合病院の渡辺加代子看護部長です。

大学病院での勤務を経て、現在看護部長として「揺るがない看護部」の構築に取り組んでいらっしゃいます。

これまでの看護師としてのキャリア、これからの看護部の予想図など興味深いお話をたくさん聞くことができました。

vol.1では看護観の土台となっている、新人看護師時代の貴重な経験について伺っています。

 

”3年でベテラン”な世界で

 

看護師としてのキャリアについてお聞かせ下さい。 

 

渡辺:小さい頃からずっと看護師になりたくて、ずっとその道だけ考えて都内の看護学校に入学しました。

自宅から通えるという自分の条件を満たしたこと、学校の先生が勧めてくれたことが決め手となり、神奈川県にある大学病院に就職しました。

3年が経って「自分にはもう少し違う可能性がある。看護の仕事だけれども病院以外でできることがあるんじゃないか」と思ってツアーコンダクターの学校に行ったんですよ。旅行している人の健康管理ができないかと考えたんです。

 

そう考えたきっかけはどんなことだったのですか 

 

渡辺:循環器内科の病棟に勤務していたのですが、当時は看護師の平均在職年数が1.8年という短さでした。

 

そんなに短かったんですか?!

 

渡辺:そうなんです。2年目になるともう病棟の中堅になって仕事をしている、そんな時代でした。

18人スタッフがいるところに私たち11人の新人が入ったんです。

日勤で行くと2人くらいリーダーがいてあとは全部新人、という状況。みんなピリピリしていましたね。私たちも危機感を抱いて、毎日集まって情報交換・共有、学習会を兼ねた勉強会をやっていました。

そして2年目になったら自分がすぐ新人を教える立場になるわけです。まだプリセプターシップもありませんでしたから、何の手立てもなく体験だけで教えていました。

それでいいのだろうかと疑問を持ちながらも、振り返ったり考えたりする余裕もなく、3年目になるともうリーダーとして病棟を切り盛りする、そんな毎日でした。

 

今とまるで違う環境だったんですね。

 

渡辺:人間そんな環境にいると「3年たったら1人前」という気持ちになってしまうんですね。

私も例外なくそう思って「違うものがほしい」という思いが頭の中を占めて、「ツアーコンダクターの学校に行こう」と思ったんです。

でもその矢先にケガをして入院してしまって。その時に患者目線でナースと接したわけですが、いてくれてホッとするナースがいたり、今日この人が夜勤だと何も頼めないなと思うナースがいたりして。

そんな患者体験から、自分はどんなナースを目指していたのかを改めて考えた時に、患者さんにとってそばにいてほしい看護師、そこを目指してきたのではないかということに気づいて、そこからずっとナースを続けています。

ケガが原因で学校に通えなくなって辞めてしまったので、結局ツアーコンダクターにはなれなかったんですけどね。

 

ICUで知った看護の奥深さ

 

入院したおかげでご自身の根本にある思いに気付けたわけですね。そこからはどんなキャリアを進まれたのでしょう? 

 

渡辺:その後ICUで勤務したのですが、救命が中心だったこともあって、今度は「ミニドクター」のようなナースになりました。

先輩たちに教えてもらいながらも独学で心電図を勉強して、医師よりも心電図が読めるくらいになりましたね。

ただ、そこでも「これは本当の看護ではない」という疑問がありました。当時、ICUシンドロームになってしまう患者さんが多い中で、ナースは何をしなくてはいけないのかを考え続けていました。

ある時、ICUで生死をさまよっていた患者さんから「ナースキャップを見て、私は生きていると思えた」と言われたんです。

また「あなたの温かい手があって私はこの世に戻ってこられた」と言った患者さんが何人もいらして、看護ってすごいなと思ったんです。

そこにナースがいる意味、患者さんの生きる力を引き出すことの大切さ。ICUですから意識障害の患者さんもいて、同僚のナースが患者さんの意識確認をするための声掛けが、ただ意識を確認するためのものではなくて意識を呼び戻すような声掛けをしていて、彼女の看護は素晴らしいと思いましたね。

 

誰かに教わってやっていたのでしょうか? 

 

渡辺:おそらく彼女が持っている感性がそうさせたのでしょうね。理論的なものでも教わったものでもないと思います。

彼女のまなざしや声掛け、熟練された心のこもった声が患者さんの回復にいい影響を与えていました。

そういう場面を目にしてきて、ICUにいるナースはフィジカルの部分をみて治療につなげていく医学的な視点だけではなくて、看護独自の部分で患者さんに生きる力を与えていること、ICUシンドロームもナースが関わることで予防できることがわかって、看護が楽しくなってきました。

初めは「3年たって技術ができるようになればここでの看護はおしまい」と思っていたのに、ICUでの体験の蓄積と、看護部で始まったヘンダーソン看護論の学習会に参加して「看護は患者さんに寄り添っていくものだ」と学んでからは、ナースをやめようとは思わないし、臨床看護の楽しさがずっと続いています。

 

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病院概要

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高山 真由子
シンカナース副編集長
慶應義塾看護短期大学  東海大学健康科学部看護学科 看護学士  早稲田大学大学院政治学研究科 ジャーナリズム修士  ニューヨーク留学  慶應義塾大学看護医療学部 慢性看護学実習指導  東海大学健康科学部看護学科 在宅看護学実習指導  東京都御蔵島村 保健師  シンカナース副編集長