災害医療における看護師・病院の対応力

災害医療における看護師・病院の対応力

  • 2017年2月7日
  • コラム
災害医療における看護師・病院の対応力
災害医療における看護師・病院の対応力

日本は地震が多く発生します。地震以外でも河川の氾濫や台風による水害など、各地で毎年さまざまな災害が発生しています。被害の拡大を防ぐ手立てがあれば、防ぐための努力をしますが、突発的に起こる自然災害に対応するのは難しいのが現実です。

災害時の医療資源備蓄はたったの2日分!

災害時の規模や種類にもよりますが、広範囲の地域で発災すると傷病者が多く発生するため、地域の病院だけでは需要に対応できなくなってしまいます。

災害医療には3T(Triage:トリアージ、Treatment:治療、Transport:搬送)を実施することが重要とされています。トリアージを行い、治療の優先順位を決め、搬送は重症者をなるべく多くの病院へ分散させることが重要となります。災害規模にもよりますが、医療資源が不足しないようにするためには、日頃から備蓄されている在庫がどのくらいあるかを把握しておくことも重要になります。当院では、衛生材料などの消耗品は約2日程度の備蓄しかありません。薬剤(輸液類)などは3日分確保されていますが、傷病者の数にもよります。

当院は災害拠点病院ではないため、大掛かりな備蓄倉庫などは保有していません。そのため備蓄も最小限となっていますが、本来であれば、もう少し確保をしておきたいと考えています。沖縄県の災害拠点病院は備蓄の管理もしっかりされているとうかがっていますが、どれくらい何があるかは病院ごとにより異なり、公表はされていません。

また、災害発生時は入院中の患者の点滴などを、必要最小限に留めたり、交換予定の尿道カテーテルなどの交換日をずらし節約を行います。それでも、災害時に医療器材が不足した際は、対応できない傷病者の受け入れを制限することも必要になってきます。当院は民間病院であるため備蓄している器材なども最小限しかありません。当院で処置や対応が困難な場合は災害拠点病院、県と連携を図り他院での受け入れを考慮します。沖縄県は隣接県へ陸路でのアクセスは不可能です。災害時に県内で完結できない治療や、断水が広域になる場合は県外への搬送も必要になってきます。

 

災害マニュアル作成に苦戦1年

病院が被災しておらず、多数傷病者を受け入れるのであれば病院内で災害対策本部を設置し、一般外来や予定手術や予約検査の中止を実行するなど、災害時の医療体制のマニュアルも必要になってきます。

災害対策本部での私達の役割は、災害対策本部のサポート業務です。病院としての活動方針を各部署に周知させることや、応援DMATの支援、関係機関や県との調整業務があります。

病院の災害マニュアル作成は私を含めDMAT隊員が中心となり、各部署の管理者から聞き取りを行いながら現場に即した内容を策定しました。完成後、査読や加筆修正を行い、完成するのに約1年かかりました。

マニュアル作成中は各部署に数回訪問し、作成はしてみたものの、現場の内容に合わなかったりと修正、修正、修正の嵐でした。しかし、大変なことだけではなく成果もありました。各部署へ訪問することで逆に顔の見える関係をマニュアル作成中に構築することができました。

ですが、マニュアルがあっても実際に多数傷病者の受け入れ訓練が実施出来ていないため、それは今後の課題でもあります。院内で訓練をしっかり行うことは災害医療における大切な準備期間でもあります。今、この課題をクリアするために現在病院内で調整中です。

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災害時の医療チーム:DMAT

與那嶺 雄
沖縄協同病院救急センター看護主任
那覇市医師会那覇看護専門学校准看護学科 東葛看護専門学校 日本DMAT隊員 日本救急医学会認定ICLSコースインストラクター NPO法人医療危機管理支援機構INARSコース認定インストラクター 沖縄協同病院救急センター看護主任