No.4 縣美恵子様(日本大学医学部附属板橋病院)「開かれた看護部を目指して進んでいこうと思います」2/2

No.4 縣美恵子様(日本大学医学部附属板橋病院)「開かれた看護部を目指して進んでいこうと思います」2/2

  • 2017年1月1日
  • インタビュー
No.4 縣美恵子様(日本大学医学部附属板橋病院)「開かれた看護部を目指して進んでいこうと思います」2/2
No.4 縣美恵子様(日本大学医学部附属板橋病院)「開かれた看護部を目指して進んでいこうと思います」2/2

1/2に続き、日本大学医学部附属板橋病院の縣美恵子看護部長のインタビューをお届けします。インタビュー後編では新人教育で取り入れているポートフォリオ、看護部長として取り組んでいらっしゃることについて伺いました。

”見える”成長記録を

新人教育にポートフォリオを導入されていますが、その経緯をお聞かせください。

救命師長時代「あなたすごいわよ」とスタッフを褒めても「私なんて全然ダメです」という言葉が返ってくることが多くありました。実際はものすごく成長しているのに、ほめてもその実感がないと言うんですね。1人1人が成長していることを自覚してもらいたくて、成長した証拠を作ってあげたいと思いました。何かないかと本屋さんに行ってふと手を伸ばしたらポートフォリオのことが書いてあってこれだなと。早速「救命ラダー」を作りました。経験年数でラダーが上がっていくのではなく知識と技術が伴って始めてラダーをクリアできる、という方法を作り上げました。当時人材確保対策のメンバーとして、当院の強みを考えていたこともあってポートフォリオを”強み”として採用することになりました。

一冊のファイルに看護部の理念、ラダー、技術チェック、目標管理、振り返りすべてができるようにファイリングして新人看護師全員に配布しています。それによって成長した実感を持ってもらえるようになりました。今日の自分が昨日の自分と違うことを自分の目で確認できる方法に辿りつけましたね。

現在もポートフォリオを当院の”強みの一つにして新人募集をしていますが今年は10月早々に募集定員となり締めきりました。140人を目標にしていたのですが、それを上回る応募がありポートフォリオ成果が数値に表れてうれしかったですね。

「ここではできない」から「ここならできる」へ

看護師のキャリアアップについても大きく改革されましたね。

数年前は多くの看護師が辞めていく現状がありました。管理者側も「とにかく数を増やす!」という時代でした。これからは質を求める時代です。そのためにもスタッフの考えを聞き漏らさないようにする必要があります。

認定看護師の資格取得については、これまで勤務扱いではあったのですが、それにかかる出費の支援はありませんでした。研修に行った看護師が戻ってきたら看護の質が上がって診療報酬にもつながりますから、病院からの支援を始めました。ただ単に「資格をとった人」にならないように、認定看護師がいることで何ができるのかを自ら提案できる人を目指してほしいですね。

また、看護師から助産師になるのも今までは一度退職する方法しかなかったのですが、今年からは,職員のまま進学できるようになりました。産科病棟全員助産師にという目標を掲げて取り組んでいます。自分たちが積極的に働ける環境ややりがいを感じられる環境を整えたら多くの人は辞めないし、集まってくることがわかってきました。 数年前までは「ここではやりたいことができないから」という理由で辞めていく人がいましたが,今後は「こういう看護師になりたいからここで働く,こんなことにチャレンジしたいからここで働くいろいろな夢が叶えられるような職場にしたいですね。

さらに、これまではマネジメントかスペシャリストの2択だったキャリアの選択肢に「教育」を加えました。実習指導者を経験して教育に関心を持つスタッフもいます。当院は付属の看護学校があるので、教員養成過程を経てそこへ異動して教員として働くことも可能です。

 

合言葉は「JHOS」

看護部長になってどのようなことに取り組んでいらっしゃいますか?

月に看護部長になってから看護部としての大事なキーワードを「JHOS」(ジェイホス)という合言葉にして少しずつスタッフに浸透させてます。日本語だと思い出しにくいので合言葉にすることを思いついたんです。

J:自信 →【自信を持つと誇りを持つことができる

H:誇り →【誇りを持つといい看護をしたいと思う】

O:思いやり →思いやりのある看護をしたいと思う

S:信頼 →そうすると患者さんや他の職種から信頼されるナースになる

キーワードを共有した上でみんなが仕事に取り組むことで、自分たちがどんな看護を目指しているのかを確認でき,お互いを高めていくことができると思うんですね。私もJHOSをよりどころにして、ほめたり時には注意したりしています。

最後にご自身の今後の目標をお聞かせください。

約2年間の期間で看護部の組織を改革したいと思っています。答えはスタッフの中にあるという組織です。だからきちんとその声が上にあがってくるシステムが必要。すでにアイデアは浮かんできています。スタッフの前向きな改革の声がしっかり届く組織なら、今まで誰も気づかなかったびっくりするくらい良い方法が発見できて問題が解決するかもしれません。

私は「これもやってくれない、あれもやってくれない」という誰かに解決してほしいオーラの人には時々がっかりすることがあります。大事な自分の人生の数年間を過ごす職場は、自分たちの手で変えていくという人がたくさんいる組織に変えていきたいと思っています。また、病院はチーム医療で成り立っていますから「看護部だけ」「看護師だけ」と独りよがりになってはいけません。他職種や派遣・委託で勤務しているスタッフとのコミュニケーションが大切です。清掃の方や看護助手の方などもみんなチームの大切なメンバーだと思っています。業務上の指示はしますが,対等の人間関係でありたいと思います。そんな組織作りを目指します。「あの人ダメだよ」とお互いを批判しあうのではなく、問題の共有化をはかって共に解決していく道を探していきたいですね。  

「開かれた看護部」を目指してどんどん進んでいこうと思います。

<シンカナース副編集長インタビュー後記>

縣さんのアイデアで始まったポートフォリオによる新人看護師教育は、非常に魅力的なものとして広まってきているようです。看護師の仕事の成果は目に見えるデータとして表れにくいものです。ポートフォリオで自分のスキルを「見える化」したことで、新人看護師が自分の成長に自信を持つことができるようになり、前向きに仕事に取り組めるようになっていくことでしょう。

また、縣さんの背中を見て成長している看護スタッフたちですから、「自分たちの手で看護部を変えていく」という土壌が確実に耕されていくはずです。進化し続ける看護師たちが次の看護部を作っていく、こうして看護は受け継がれていくのでしょうね。

縣看護部長、貴重なお話をありがとうございました。

 

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高山 真由子
シンカナース副編集長
慶應義塾看護短期大学  東海大学健康科学部看護学科 看護学士  早稲田大学大学院政治学研究科 ジャーナリズム修士  ニューヨーク留学  慶應義塾大学看護医療学部 慢性看護学実習指導  東海大学健康科学部看護学科 在宅看護学実習指導  東京都御蔵島村 保健師  シンカナース副編集長