日本とオーストラリアの看護について③ 看護記録の違い

コラム

皆さんこんにちは。

さて今回は、前回オーストラリアの看護師は記録にかける時間が短いということを少しお話しさせて頂いたのですが、オーストラリアと日本の看護記録の違いについてもう少し紹介させて頂きたいと思います。

1処置1記録

1処置、1手洗いじゃないですが、オーストラリアの看護記録の基本は「1看護処置、1記録」です。看護ケアを行ったらその場で記録を行うことによって、時間経過による書き漏れや書き写しによるミスを防止し、より効果的な看護記録を実践する目的があります。バイタル測定の際にはカルテ(またはバイタル記録用紙)を持ち歩き、1患者ごとに測定後その場で記録していきます。ガーゼ交換なども処置後すぐに傷の状態や実施処置、ケア内容の変更の有無などの記録を行います。そもそもオーストラリアの看護記録は看護処置ごとに記録が分かれているため、その場で処置ごとの記録が可能なのです(褥瘡や傷、ドレーン、意識レベルや神経血管系アセスメントなど)。医師やリハビリなども統一された記録を使うのですが、他職種間で共通の経過記録には患者さんの一通りのアセスメントなどを簡潔に記載し、細かい看護処置や観察内容などはそれぞれ別の記録に記載するという形です。

質的/量的統一化された看護記録

オーストラリアの看護記録は新人や学生にもとても分かりやすい!というのも特徴です。チャート式やチェック式の記録に観察項目や観察方法、異常値、異常時の対処方法などが一目で分かるように記載されており、経験などによる記録の質的・量的な差を最小限にするために統一された記録用紙を使用しています。州(日本の県のようなもの)はもちろん、オーストラリア全土の公立病院でほぼ共通の記録用紙を使用しているため、他病院などへの転勤も困りません。

異常値(黄色の危険ゾーンと迅速な対応が求められる赤色ゾーン)

が一目で分かるバイタル記録用紙 ↓

↑ それぞれの異常値ゾーンへの対応方法も分かりやすく明記

まとめ

処置ごとの記録によって効果的でタイムリーな記録の実践と、後回しにされた記録に追われて残業ということもありません。また、明確で簡潔に統一された記録は経験や能力差による質的/量的差を最小限に抑えるとともに、記録時間も最小限に抑えられています。記録に時間が掛かりすぎていると感じる現場であれば、オーストラリア流の記録を少し目指してみてもいいかもしれません!